山頂にツノが生えてるという鬼ヶ岳。
一ヶ月ほどまえに王岳に登った時、ホントはこの山まで足を伸ばすつもりだったが
日曜で、疲れすぎて次の日に差し障りがあっちゃいけないし渋滞が始まる前に帰ろうとヒヨッて途中の鍵掛峠から降りてしまった。
今朝の気温はマイナス5度。
ま、歩きだしゃ すぐにポカポカしてくる。西湖脇の駐車場からは富士山も見え、
あれが鬼ヶ岳か~~?
高度計を900mにセットし いざスタート。
要塞みてぇなダムだな。
昭和の時代、麓の部落は大きな山津波に襲われて全滅したというところ。
テキも もうそろそろ冬眠に入る頃だろ。
それより あっちに見えるのは雪か?
砂防ダムの上は大きな岩がごろごろしてて、こんなのが水と一緒に大量落ちてきたらひとたまりもないな。
一本道で間違えようがない。
鬼が岳の下に雪頭ヶ岳と言うところがあり、景色が良いらしいので そこでラーメンタイムをしようといろいろリュックに詰め込んで、
気温は低いといっても風もなく 絶好の登山日和に、ゆっくり登ってると うしろから来た三人に次々に抜かれて、高速道路じゃ抜かれたことなんかないのに、最近はドライバーの飛距離はしょうがないと受け入れというかアキラメ、山じゃ当然、必然、どうぞどうぞお先に なんてもん。
雪あるじゃん。
一応チェーンスパイクは持ってきたけど、まだ履くの早いな。
だれも着けてないのに、一人だけ着けたら怖がりに見える?度胸試しみたいなもんか。
あ~あった!シモバシラの花?
あちこちで耳にしたり目したけど、実物を見たのは初めて。
シモバシラというシソ科の植物で、枯れた茎の根元から吸い上げた水分が凍ってできるらしい。
こちらはホンモノ?のシモバシラ。
カラ松林の上からは、時々パラパラと枝に残った雪が舞い、
お~富士山!
ここで1400mか。
鬼ヶ岳山頂は1738mっていってたな。
このまえNHKBSで石原裕次郎の「夜霧よ今夜もありがとう」をやってて
歌はモチロン知ってるが映画は初めて。仕事をやりながら見るともなく見てたら
途中で裕次郎が「こぼれ花」という 聞いたことのあるようなないような歌を歌って
♪紅い野ばらがただ一つ 荒野の隅に咲いている
ものみな枯れた山かげに 風に震えて咲いている
いい歌じゃないか。ちあきなおみもカバーしてるようだが、明日から12月と言うこの日は このまえ咲いてたトリカブトもすっかり消え、シモバシラの花のみかよ。
雪頭ヶ岳到着、真下に西湖。
この先にも 春に登った節刀ヶ岳というのがあり 読みは同じ。
山を駆けて廻るスーさんなら一日でぐるっと廻るんだろけどな。
ここの標高1710mというから そこそこ合ってる?
トゲトゲは野いばらか?
ツガの枝にツララ。クリスマスも近いしな。
こちらは河口湖方面。
さて、この良い景色ながめながら三分間クッキング始めるか。
水入れて、その他全部放り込んで着火!
噴火が始まったよ。
今日は土曜日、明日の日曜はどこにも行かない完全休養と決めて、ゆっくりのんびり帰りゃいいか。
ここまでも、コースタイムの1.5倍の3時間かかってるからな。
おなかいっぱいになって、鬼成敗に出発。
こりゃチェーンスパイク履いたほうがいいなと装着したけど、持ってこなかった人達は大苦戦してた。
道も合ってる。
事前に調べた通りのハシゴを登り、
岩陰を回りこんで、
鬼ヶ岳到着。ハンドメイド?の看板には1、738m 向こうに南アルプスの峰々がずら~~っ。
一番左の端が赤石だな。
ツノはどこだと見回すと、あった、アレか。
そもそもが このツノのように突き出した岩が、鬼ヶ岳という名前のいわれとか。
案外正確な高度計。
南アルプスの上からも、こちら側を眺めてるヤツがいるんだろうな~。
今日は、あちらからも富士山がきれいに見えてるだろ。
右手に見えるのが甲府市街か。
ハナシは戻るけど、「夜霧よ今夜もありがとう」を見てたら なにこれ?
そのまんま あの「カサブランカ」のパクリやないか。
浅丘ルリ子演じるヒロインが 結婚の約束をしていながら姿を消し、数年後にダンナと一緒に元彼の裕次郎がやってる酒場に来て、だんなのためにパスポートを都合してと頼む。飛行機が船に変わっただけで、つかず離れずの刑事がでてきたりと まったく同じ筋書きで途中で見るのやめちゃったけど、
調べたら やはり「カサブランカ」のリメイクというか換骨奪胎・・・
まあ、脚本家を名乗るナルさんに言ャ、「今ごろ知ったの?」と言われるのがオチだろうけど
日本映画というのを10年位前まではほとんど観なかったからな~。
富士山はこれから真っ白になるんだろうけど、
こちらの枝先には もう新芽の小さなツボミがある。
鬼ヶ岳の頂上から鍵掛峠までの稜線は、雪の楽しい散歩道。
ガケの上から染み出した水が凍ってできたツララ。
野ばらの実?
♪紅い野バラがただ一つ 荒野の隅に咲いている
ものみな枯れた 山カゲに 風に震えて咲いている
じゃなくて 紅い実がただ一つ。
岩陰の陽だまりに腰を下ろし耳を澄ませば 聞こえてくるのは耳鳴りを別にすれば
梢から 時折落ちる雪のカケラの音のみ。静かだな~。
しかし50年前の浅丘ルリ子は可愛かった。
学生時代の京都の下宿は4畳半、といっても京間といって少し広かった?そこにベッドを入れ机とイスを置いても まだマージャンをやるコタツが悠々と置けたからな。壁は赤い京風の土壁。そこに河原町丸善の2階で買ったA全サイズの大きな浅丘ルリ子のポスターを画鋲で止めてた。
ピンクの小紋の着物を着た彼女は、近頃TVで・・・ 以下自粛。
鍵掛峠からは 一ヶ月前に通った下り。
といってもほとんど記憶になかった。
トリカブトも すっかり枯れ果て、
このあたりでは湿り気を帯びた雪がスパイクに付き、
枯れ葉と雪のサンドイッチ。
こまめに落とさないとネンザする。
麓近くまで降りてくれば雪も消えて、
また、あのソバ屋で食ってくか。
鍵掛峠の名の由来を女将に講釈垂れ、
暑すぎるくらいの店内の障子を開ければ富士山。
天せいろををご馳走になり、
高度計もちゃんと900mに戻り
いずみの湯の露天風呂にゆっくり浸かって帰ってきたのでありました。