
牛奥ノ雁ヶ腹摺り山。ウシオクノガンガハラスリヤマ。
牛奥は地名、雁がその頂きを飛び越えるとき お腹を摺るほどの高い山という名前が
日本で一番長い名前の山だと某新聞で読み、初めて登ったのが2年前。

まだ山のぼりを始めて半年ほどで、不安とキンチョーの中 一人でこれも初めての雪山に挑み、
ダレの踏みあともない頂上に登って ヤッタ~~!
あとは下るだけとウチョウテンになり、つづら折りのクネクネ道をショートカットしながら降りてたら アレ~~?

登ってきたときのオレの足跡が見えない。
ヒザまである笹藪の雪原をザザ~っと降りながら、
まあ、このまま下りれば どこかの周遊道路にぶち当たるだろ。(シロートの恐ろしさ?)
が、そのうち状況がわかってくると マヂヤバイ・・・ マイッタな。
一時間ほど雪山の中をグルグル、見えてた大菩薩湖もどこかに消え 途方に暮れながら沢っぽいところを
下ってたら、なんだこれ?
うっすら雪が積もってるが、人の足跡らしき窪みを見つけ 地獄で仏の足とはこのことか?

体力は限界に近く登る気力もなかったが もうこれに頼るしかナイと
上に向かってる足跡を辿り、そのあとも紆余曲折はあったものの
幸運にも 元の自分の足跡まで戻れたという貴重?な体験をしてから この山に愛着が沸き、

今回で、2年間で5回目。
ここから大菩薩のほうに行ったり、逆に白谷丸のほうを往復したり、失恋ボーイを連れてきたり・・・

中でもこの大好きなシラビソの縞枯れの林、今日が一番良く見え ピタリ賞はこんなもんでどうですか?
向こうは南アルプスの白き峰々。
ここも100年も経てば また元通りになり こうして森は死と再生を繰り返すんだな と立松和平なら言いそう。
アイツ、死んだっけ?

縞枯れの森を通りぬけた先が頂上。
上で一息ついてたらすぐに若者が上がってきて 下のペンションからか?と聞けば 「そうです」
なんだ、小枝の謎解きより先に犯人が現われたか。
どこまで?と聞けば大菩薩往復。オレは反対側に行くよ。

今日は一つ、モクロミがある。又かって?
そうです、砂金。
あの川胡桃沢ノ頭の下にある水場まで行って・・・
昨日、ネットで砂金探しを検索したら、
砂金と言っても砂じゃなく 米粒や大きいのは大豆以上もある砂金ナゲット。
比重が重いから 岩の隙間や底を探さにゃ出てこない?
そうか・・・

コレはイノシシのヌタ場。
こんなところに ナゲットがあるわきゃナイ。

森の中の雪を蹴散らして・・・いくつになっても子供の頃とまったく同じ。

ここからも富士山の雄姿、ノートリも小さく見えるだろ?
上に飛行機雲も・・・一番上の写真にも写っていて、たしかに何度も轟音を聞いた。
どこかで戦争が始まっても、こんな山の中じゃわからないけどな。

真ん中の小道を 向かいの山に行った先が 川胡桃沢ノ頭。
右下に下りれば目指す 水場がある。

ダレもつけてこないか振り返れば、遠く雪をかぶった南アルプスが・・・

そうして お目当ての沢、の はずが なんだよ 雪に埋もれてるじゃないか。
しばし立ち止まって考えたが ヨクより冷たさのほうが頭の大半を占め、今日のところはカンベンしてやるか。

ヨクに駆られてトットと下ってきた道なき道を、重い足取りで登り、

まるで敗残兵だな?

ようやくの思いで麓近くまで戻れば、青空にヤドリギ。

サイゴ、足が上がらず 枯れ葉の中をザザーと牛奥ノ足摺り山か?

ペンションすずらんで いつものように山葡萄ジュースをご馳走になり
まだ両脇に雪の残る道を、天目山温泉めざしてひた走ったのでありました。