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ダブルベッドに一人でナナメに寝て、朝4時に菅の台バスセンターに駆けつければ、

早くも10人ほどがベンチに列を作っていて、オレも早速リュックをベンチに置き 場所取りをしてから

まだシャッターの下りてるチケット売り場に並んだ。グループで来てた連中は、手分けしてやってたけどね。


うしろに並んだ地元だというオジサンが、自分のところで採れたブルーベリーの冷凍したのを周囲に配りながら

「天気予報じゃ10時頃から降りだすようだよ。カミナリが鳴らなきゃいいけどね。」

そうなの?じゃ昨日の夕焼けはなんだったんだ。



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おじさんと世間話をしてるあいだにもドンドン人が並んで、

チケットを買ってからうしろにまわったらこの列!

多分、千畳敷と駒ケ岳方面の人達が95%以上だろ。



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こちらはバス待ちの列。

おじさんが「この人達は、この調子じゃ1時間は待つよ」 なんでも早起きは3文のトクだな。


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5時10分発の一番の臨時バスに揺られて、ロープウエーのしらび平駅まで30分。

そこからロープウエーに乗り換え10分で、頂上駅。

途中で一瞬、雲海の向こうに南アルプスが見えたがそれが最後、 上に着いたら案の定、なんも見えねェ。

ま、今日は景色はアキラメだな。

しょうがねェ、駒ケ岳神社に無事を祈って、登山開始。


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案内板にも三ノ沢岳は書いてない、マイナーな山だ。

6時登山開始。


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こんなところあったか?

5月のときは、この上に雪が積もりその上を歩いたのか。


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ミヤマゼンコ?セリやウドの仲間らしいが 

とにかく景色が見えないんじゃ花だけが唯一のナグサメ。

以下、花の名前は図鑑と首っ引きで照らし合わせたけど、マチガイゴメン。


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ミヤマアキノキリンソウ



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小さなひまわりのようなウサギギク。葉っぱがウサギの耳に似てるからと。


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五里霧中とはこのこと。

前もうしろもダレもいない、というか いても見えない。

しかしちょっと寒くないか?長袖の上にジャケットを羽織って・・・

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オッ、これはクロユリの葉っぱだな。

先っぽに花の終わった形跡、ちょっと遅かった。

前に球根をおみやげに買って帰ったのが、庭で咲いたことがある。


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スゲッ、これがチングルマのナレの果て?花の終わったあとの綿毛か。

うわさにさにャよく聞くが初めて見た。


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イワツメグサ 文字通りの岩爪草。


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ミヤマシオガマ

次々に出てくる高山植物に、一々足を止めてパチリパチリ。

丁度よい休憩だ。


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そうして1時間、やっと極楽平到着。

五月に雪渓を登ってきたときのほうが早かった?



宝剣山荘に泊まり、宝剣をやっつけて空木を目指すという反対側から来た若者に頼んで一枚。

半ズボンの下にハヤリ?のタイツ着用してきたが、しかしコレが災難の元だった。


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コマウスユキソウ 中央アルプスの砂礫地だけに生える希少種だとか・・・

向こうで言うエーデルワイスの一種。

それにしても尾根筋に出たら吹き上がってくる風が冷たい。



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やっと分岐地点。右に行けば去年登った宝剣方面。

三ノ沢は、真ん中奥に一旦下る。地図もなにもないけど一本道。

アタマの中に三角錐の山のイメージを描き、予定じゃ頂上までここから2時間。


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ハイマツがヒザの高さだったのが、腰まできて胸まできて

おまけに水滴がついてるものだからタイツが濡れる。

コレ、防水じゃないのか。

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相当来たと思うが、まだ30分ほどしか経ってない?

案内板の文字はすっかり消えていて、この山の不人気さをあらわしてる?

そういえば、ペットボトル2本持ってきた水に、まだ一度も口をつけてない。

だいたい汗をかかないもんな。とりあえずちょっと一休みと腰をおろしていると、



うしろからクマ鈴を鳴らしながらオジさんが軽快な足取りでやってきて 「三ノ沢まで?」

そうですと答え、ここマッスグですよねと確認すれば

「一本道ですからダイジョウブです。雨が降らなきゃいいですがね。私も行ったらこの道を帰ってきますから」

と、トコトコ クマ鈴を鳴らしながら去って行った。

オレもどうせ降ってくるんだろうし、防寒を兼ねて山用のレインコートを着用しフードをかぶって出発。



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まさかあれが頂上じゃないよな。

しかし登ったり下ったり 廻りの景色でも見えてりゃおおよその見当もつくんだが・・・



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ポツリ、ポツリ 降ってきやがったか。

予報より早いんじゃないか?

まあ、雨の山登りも それなりに楽しめば良い。

というのは、このまえTVを見ていて聞きかじった言葉。

天気に合わせて山登りなんてぜいたくはできないもんな。


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オオカサモチ?似たような花があってまぎらわしいが、線香花火みたいな花だな。


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しかし相当バテが来てる。昨日の宿場巡りが効いてるか?

頃合だろと燃料補給。

上まで2時間だと、ちょっと甘く考えてたか?その前に極楽平までの1時間があるからな。

しかも、こんなにアップダウンがあるとは思わなんだ。

手も冷たくなって手袋をしてるが、これも岩などに手をつくと水がしみるシロモノ。



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こんなところがあるなんて聞いてなかったが、なんと よじ登ってる目の前の岩の隙間に


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ダイモンジソウ!

片手でロープにしがみつきながらパチリ。


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またハイマツの中に突入。

タイツに枝が引っかかるが破けるということはなく、強度はあるけど濡れるのが難点。

今日はフツウのズボンが正解だったな。ハヤリのタイツなんて履いたばっかりに・・・



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ナナカマドの実?

それにしても結構降ってきたな。

そこへクマ鈴がチリンチリンと鳴り お~、おじさん帰ってきたか 頂上はもうすぐ?と思ったが

オジさんはオレを見て「どこから来た」と・・・

えっ、さっきオレを追い抜いて行ったじゃないですか。もう頂上に行ってきた?



「あ~、さっきの人。じゃこっちが頂上ですね。」

なにを言ってるのかと思ったが、おじさんは途中で休憩し、

さあ登ろうと思ったらどっちに行ってよいのかわからなくなって降りる方向に来ちゃったらしい。



オレもレインコートを着たから、だれだかわからなかった?

しかし、オレに輪をかけてそそっかしいのがいるんだな。

随分ありがたがってまた登って行ったが、その気持ちよ~くわかる。

気持ちが迷いながら歩いてるときは、地獄に仏みたいなもんだろ。

ダレがホトケ?ホットケ


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おじさんが休憩してまちがったところはどこだろ?と捜しながら 

きっと下りの途中で休んだのがいけなかったんじゃないか、などとイランお世話を焼きながら歩いてるとケルン。



このケルンの案内板の文字も全く読めず。

下にはめ込まれてるプレートには「神よ護りたまえ 白き高みに憧れる若者を」

なんだ、若者だけかとひがんだが、

どうも下まで読むと、本場のアルプスで亡くなった若者を悼む言葉のようだった。



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イブキトラノオ

たしか千畳敷にもひけをとらないお花畑が、三ノ沢の上のほうにも広がると読んだが

そこにまたチリンチリン、オジさんがおりてきて「先ほどはありがとうございました」と又お礼を言われ

「私は75歳になるけど300名山を登り、今は花の100名山を登ってるんです」


ということは、ここも花の100名山?と聞けば 「そうです。」へ~知らんかった。

クルマで寝泊りしながらあちこち登ってるけど、この山がこんなにキツイとは思わなかったと・・・。

やっぱり、甘くみてたのは、オレだけじゃなかったんだ。

「もう15分ほどですよ」と言われて気分もラクになり、


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晴れてればな~、という禁句を胸にしまい


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チングルマの綿毛、しずく付き。

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相当バテバテになったころ、


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着いた~。三ノ沢岳 2、847m。

9時半。分岐から2時間半かかってる。

その先の岩に登って向こうを見ても、相変わらず雲ばっかり。


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多分、向こうには御嶽山が見えるハズだった。

真下にカメラを向け、おそるおそる登山靴の先っぽを出してみたけど、ちょっとしか出てない。




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そういえば、バス待ちのあいだにサンドウィッチを食べただけだと、

前日に仕入れたコンビニのオニギリをパクリ。

疲労のため胃が受け付けず、やっとの思いで飲み込んで、さァ帰るか・・・


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エゾシオガマ 

登ってる時に見落とした花を見つけながら、


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雨は強くなったり弱まったり・・・


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え~、またアレを登り返すのか・・・


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ダイモンジソウを見つけたロープの岩場のヨコに もう一つ咲いてた。


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ゴゼンタチバナ

前にナニと一緒にモンベルに行ったとき、この花が描かれたTシャツを買ってたな。

ホンモノの写真を見せてやるか。


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岩陰にまとまって咲いてるやないか。来る時、見落とした?

レインコートを着てはいるが、タイツから流れ落ちた雨水はそのままソックスを濡らしながら靴に流れ込み

靴の中はジャブジャブ?足の指が泳いでいる。



いいかげんにせ~よ。

濡れた岩に腰を下ろし、靴紐を解いて靴を脱ぎ逆さにすればジャ~~と水が流れ落ちて

靴下もしぼってまた履いて、前よりはいいだろ。

いつになったら着くんだ?と苦闘しながら

ようやく見覚えのある、最初に下ったハイマツ帯を登ると やっと分岐したところで12時過ぎ。

登るより下りのほうが時間がかかった山登りは初めてやが。アップダウンきつすぎやろ。



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分岐の先にあった石碑の裏ッ側にこんなプレート。

~天候はわれらに 機会を与えず~

雨の山登りはヨセってこと?



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トウヤクリンドウのつぼみ?


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極楽平までの道もこんなに遠かったか?



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やっと標識。

向こうに見えるハズの三ノ沢岳、ココロの目で見ても見えないほど疲れた。


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空木岳方面から来た単独の女性が、「雨に降られませんでしたか?」

大したことなかったけど、これじゃ景色もなんもどうしようもないね。

「私は土砂降りに会いました」

へ~、一山違うとそんなに極端なんだ。


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ウメバチソウ

女性はさっさと下り、オレはヨロヨロ そのうちロープウエーの発車ベルの音が聞こえ


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お~、やっとロープウエー駅が見えてきた。

神社にお礼参りをし、とにかく濡れた靴下を取り替えたくてすぐにロープウエーに乗り、バスに乗って

クルマの止めてある駐車場まで。


乾いた靴下と靴に履き替えて 日帰り温泉で疲れをとり

サッ帰るかと リュックにしまっておいたカメラをとりだし

高速の看板に向けると、




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レンズのまわりが曇っていたのか、入道雲と風変わりな写真が撮れた。

花の三ノ沢岳じゃなくて雨の三ノ沢だったけど、まあ平成サイゴの夏の 良い思いでになった。