
,まだ月の残る 甲州市塩山ペンション・すずらんにクルマを停めさせてもらい、

とりあえずの一枚を撮って、

今年3回目の牛奥ノ雁ヶ腹摺山登山。
その名の通り、あの山のスレスレを雁がお腹を摺りながら飛ぶ姿を撮れりゃ言うことないけど
今日は頂上から右に折れ、黒岳経由で富士山の絶景が見れるという 白谷ノ丸まで往復するつもり。
天気予報じゃ、絶好の秋晴れ行楽日和と宣伝していたが・・・

5時半、スタート。
昨日の雨で濡れてひんやり、コンディションは上々、しかし

これから登る山のあたりには雲?
大体 来る途中で聞いたNHKラジオで 富士山五合目からのご来光の中継が
あいにく今日は雲がかかって拝めません。でもこれが生中継の醍醐味ですね?
なにが醍醐味じゃ! 富士山が見えないんじゃなにしに来たんだか、今更帰れといわれても・・・

秋の七草の一つ、フジバカマがたくさん咲いてるが
こんなどんよりした天気じゃ この花の蜜を吸いに来るという渡り蝶のアサギマダラも拝めそうにないな。

しかしあの天気予報はなんだったんだ?晴れマークの下に曇りマークが隠れてて
あれは関東地方?山梨は中部地方だったか。

この登山道で、いまだ人に出会ったことがない。
道の両側には夏の草が生い茂り、ヒザで掻き分けてゆくところも・・・
頂上の縦走路まで登れば、大菩薩に続く小金沢山系を行き交う登山客がいる。

木の階段の脇にホタルブクロが終わりかけていた。
しかしバテるな~。
もう7時か。今頃起きてゴミ出し してるかな?
最初の時は初めてで しかも雪道、それなりにキンチョーしたし
2回目の6月は大菩薩嶺まで足を伸ばすというモチベーションがあったが
今日は慣れた道、とココロの隙があったのか、予想以上にキツイ。
それでもいい汗をかき、こういう余分な脂分を落とすのが山登りのいいところ
それに世俗のヨクやヨゴレを忘れ、悟りを開くようなスガスガしい気分になれる。

岩についた苔。
こういうの都会に持ってって金持ちに売ったら いくらぐらいになるんだろ?
そういえばアメリカのカリフォルニアで、100年ぶりのゴールドラッシュとニュースでやってたな。
大雨で地中の金が削られて流され 川に砂金が溜まってるらしく
大勢のゴールドハンターが洗面器みたいのを回して 砂金を漁ってる映像が流れていた。

また昔話になるけど、ここ山梨でもハンターが鉄砲で撃った鹿の歯が
金歯だったっていうニュースがあったのを覚えてる。
鹿が沢の水を飲んでるうちに、砂金が歯を覆ったらしく どこの沢だと騒動になったのは、もう十年以上前?
そもそも山梨は、武田信玄の隠し金山でも有名だからな。

いつものパノラマ岩に着いたが、雲ばっかり。
リュックを下ろし コロッケパンにかじりついてると、ブ~~ンと虫の羽音がして、

顔を上げると、さ~~と雲が流れ 大菩薩湖が姿を現した。
しかし雲が厚い。左手のほうに見えるはずの富士山は期待できそうもないな。
富士山を撮ろうと、重い望遠レンズを用意し
暑くなりそうだからと 凍らしたペットボトルも1本余分に持ってきたのに 全部ムダか?

しかしスローながら、良いペースで歩けるようになったもんだ。
去年、なにもわからず仙丈ケ岳に登った時は、最初からトップギアでエンストをおこしたようなもん。
2合目の手前で心臓バクバク、足が上がらなくなったからな。
人っ子一人いない山の中、カサッという音がしたといっちゃ立ち止まって耳を澄まし、
露に濡れた熊笹の道を掻き分けて登れば、

大好きな、シラビソの縞枯れの森。

まあ、富士山が見えなくても これが見れりゃいいか・・・

標準で2時間のところ3時間かかって、
3度目の牛奥の頂上に立ち、今日は大菩薩と反対側にGO!

あれが黒岳?タブン・・・
ここで初めてあちら側から来た ランの若者に遭遇、大菩薩まで往復するという若さがうらやましい。

陽がさしてきて、途中の草原に腰を下ろし 凍らせてきた朝リンゴ。
時々登山者が来て立ち止まり アイサツを交わしてたら
ツ~~~っと陰を落としてチョウチョが飛び、アサギマダラじゃないか、とまれよ!
と思っても、こちらのオモワクには振り向きもせず行っちゃった。
さっ 行くか、どっこいしょと腰を上げて

ランナーズハイじゃないけど、ちょっとハイな気分で山道をテクテク。

この道は倒木が多かった。
疲れてきて、ヘンな態勢で下をくぐると腰を痛める。
お~、やっと黒岳の頂上かと看板を見ると、

川胡桃沢ノ頭、名前はしゃれてるが 地図を見るとまだ黒岳までの半分しかきてない。
これだけ下りたり登ったりしてるのを、帰りは又繰り返さなければならないのか。

もはや、芸術的とさえいえる倒木。

10時過ぎ、やっと黒岳到着。
周りは木に囲まれ、景色はなにも見えず。

そのまま更に足を延ばせば 黒岳の広葉樹林の立て札。
もう少しして、紅葉の季節に来るべきだな。
しかし、この縦走路ですれ違う人達は例外なくクマ鈴をチリンチリン鳴らしながら歩いて
ア~、ダレか来るなとわかるけど、クマを呼び寄せるということはないのか?
とにかくオレは中学生の頃から、決められたバッジとかつけるのがイヤなタチだからな。
鉢合わせしたとき用に、このまえ動物園でクマとにらめっこの練習したし。

本日の最終目的地、白谷ノ丸。 茶臼岳とも呼ぶのか?

本来なら、この正面にド~~ンと富士山が見えるはずだが、今日はなにを言ってもしょうがない。
またいつか いずれの御時にか・・・
さ、帰ろう!
だんだんに疲労が増し 足があがらなくなり、木の根っこにもけつまずくようになった。

黒岳を過ぎ、さきほどの川胡桃沢の頭を通りながら地図を見ると 小さくこの左手に水場?
来るときはまったく気づかなかったし、あの手前に見える壊れてブランとなってる立て札には
そんな表示はしてなかったけどな。
上から見下ろすと、確かに あの壊れた看板の反対側に踏みアトのような道がある。

川胡桃沢の頭というのは沢の上のこと?地図で見ればスグそこのようにも見えるし なにより
♪ 水が ない わけ じゃ~ないけ~れど・・・
水場=沢=シカの金歯
もしかして、砂金を発見できるんじゃないかと、疲れよりヨク。
迷いなく、かろうじて踏みアトの残る細い道に踏み出した。

振り返れば 青い空。
一応迷ったときのために、地形を確認。

ものの5分くらい、草や笹をかきわけてゆくと、アレだ!
下に、細い沢が見えた。
ストックは役に立たず、細い笹につかまりながら、ざざっと川辺まで下りれば
いかにも鹿が水を飲みにきそうな水場。

ひとまず、手で一すくいして飲めば 冷てぇ~~~。

で、底の砂をすくって目を皿のようにしてみたが 光るものナシ。
それよりこの冷たさじゃ、砂金見つけるより先に冷え性になってしまう。

沢からのガケをよじ登り元の道に戻れば、すすきが秋の気配を漂わせ、

牛奥の雁ヶ腹摺山まで戻って、1時前。
あとはここを下るだけと、ムギワラ帽子を顔にのせて砂金の夢を見ながらゴロリと一休み。

縞枯れの林を下り、2月に迷い道に踏み込んだのはこの辺り?
戻って赤いヒラヒラのテープを見っけたのはここか~などと下り
シカネットが施されているの景色の良いところで一息、
いい風だな~~と ゆっくりしながら フト 花に目をやると

アサギマダラ!
朝、フジバカマの群生を見たところに アサギマダラが止まってる。
羽、拡げろ!

良くみると、あっちにもひらひら、こっちでもひらひら、たくさんいる!

少年時代には ほちゅう網を持って追いかけたが 今日は手に望遠レンズを装着したカメラを持ち
キモチはあのころのままに、蝶を追い掛け回して・・・

富士山は見えなかったし、砂金のカケラも見つからなかったけど

この蝶とめぐり合えたんなら

大正解じゃないか。

高校を卒業した年の夏、天城山中で この蝶の乱舞を見て以来

こんなにたくさん舞うアサギマダラを見たことがなかった。
名残惜しいけど、またいつかな。
望遠も役に立ってよかったよ。

ペンションまで下り、山ブドウのジュースを飲みながらおかみさんに蝶の話をすれば
ここのご主人は昆虫館も併設してるほどの昆虫好き。
アサギマダラにマーキングして、どこまで飛んでゆくのかの調査もしているそうだ。
女の子だからね。虫のオミヤゲはいらないよ、と言われ 今日はチョウチョのしおりとカレンダー。
蝶は虫じゃないみたい。

途中の天目山温泉で汗を流し、ペンションのおかみさんからは「是非又いらしてください」
と売り物のキャベツまでチョウダイしたから、もう一度砂金掘り?に リベンジしなくちゃ・・・