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山梨県の甲州市塩山の奥に「牛奥ノ雁ヶ腹摺山」と言う日本一長い名前の山があると

先月だかの朝日の夕刊に出ていて「ウシオクノガンガハラスリヤマ」と読むんだそうだ。

牛奥というのは塩山にある旧くからの地名、そこの奥のほうにある

雁が飛び越えるときにお腹を摺るほどの高い山、というイミ?

なんともロマンあふれる名前、行ってみた~いと・・・



バスは4月中旬まで冬季運行中止ということで

クルマで行くにしてもノーマルタイヤじゃヤバイ?

一応クルマ屋にスタッドレスを履いた古~~いベンツのステーションワゴンを借り、

これなら捕まることもないなと行ったが、これが大正解。

フツーので来てたら途中でユーターン?もっともそっちのほうが良かったかも。

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無事上り口に着き、8時過ぎ登攀開始。

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ところが、足跡が一つもなく昨晩少し降った?

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これはなんの足跡?

猪?シカ?チョウ!

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オ~、富士山の頂上もくっきり見え、期待がいやがおうにも高まる。

言っとくけど、スノーシューは持ってこなかったから。

あれは山登りするときには使わないんだってね~。シロートは恐ろしい。

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自他共に許す方向音痴、帰りにここを曲がるのを間違えないよう矢印を描いたが

帰るときには雪が融けてた。上の足跡はウサギ?

どうも下の凍った上に雪が1、2cm積もってるらしく、歩くとパリパリいう林道の上はおそるおそる。


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標識は読めなくても、ケモノも登山道を歩くんだね~。


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やっぱり整備されてて歩きやすいんだろうか?


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あちこちに青や赤のテープが巻いてあり 迷うシンパイはないな。


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時々上から枝に残った雪がパラパラ舞い、

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なんかゼイタクな時間だな~。

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それでも相当苦戦しながら、たどりつたパノラマ岩。

左手から回り込んで上に立てば絶景。



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背負っていったコンビニのオニギリとコロッケパンを落とさないように食べて水をゴクゴク、ウマイ!

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南アルプスに八ヶ岳?

去年登った仙丈ケ岳はあっちかこっちか?

右下に大菩薩湖が見える。


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シラビソ?の縞枯れの林を抜けた先に


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着いた。

1990m。

普通の人で2時間のところを、3時間の只今11時05分。だいたい1.5倍かかるのは織り込み済み。

ウシロの木は樹氷状態になっているし、こころなしか波の音が・・・じゃなくて空気が薄い?


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期待の富士山は雲に隠れて見えず長居は無用、来る途中で見かけた温泉に早く入ろうと下山開始。

突然、林の中からピューィという甲高い鳴き声が聞こえ シカが走った。

カメラ片手に同じような口笛を吹けば、テキも鳴き返してくるが姿は見えない。

向こうからは見えてるんだろうか。

上の写真は、オレの足跡の上をシカが走ったあと。




頂上には他人の足跡があったが、縦走してる人?

下りはじめてもオレが登ってきた足跡しかなく、シカを気にしながらとっとと下りてたら

自分の足跡がない!



顔を上げて見渡せば、テープが見え、そっちかい!

ショートカットしてもいずれ合流と2,3回繰り返すうちに 道がわからなくなり

こういう時は戻るのが一番とわかってても これだけ下りてきちゃったんだし、

どこかでモトの道にぶち当たるだろうと、そのまま笹藪の上に雪が積もったところをスベリ降りたけど

ちょっとヤバイ?




パノラマ岩で見た大菩薩湖が真下に見え、右に来すぎてるな。

もう戻れないし、左下のほうに下って林道に出れば・・・

とにかく木につかまり、ヒザまで踏み抜くような雪のガケを転びながら下ってたら湖が見えなくなり

代わりに左手に沢が見えた。



沢伝いに下に行くか。もう12時過ぎた?ちょっとマズイやないか。

昨日の夜、ナニに「他人にメイワクかけないようにね」と言われたことを思い出し、

もしもの時でも、水はこの雪でなんとかなるな。夜の寒さをどうしのぐかが問題など

いろいろ考えながら沢沿いを必死で下ってたら、

向こう側とつながった細いところに雪がかぶってるが人?の足跡。




登ってるのかよ。もうこれまでに足を使い尽くして余力はないけど

これを辿ってけば、さっきの山か縦走路の別の山に行けるんじゃないか?背に腹はかえられない。

今度は目を皿のようにして、雪がかぶってるけど人の足跡らしき窪みを追って、

また山をグルグル登り始め、迷い始めてからは一時間はとっくに過ぎてるけど、

疲れたとか言ってる場合じゃない。雪と格闘しながら そうして20分?30分?



あった~。ブルーのテープがヒラヒラ、しかも人の足跡がクッキリ。

しげしげ見ると、え~コレ、オレのか?

足跡の横に足を着き、同じ?

ストックの丸いワッカも突いて同じと確認したときは、バーディー取ったときより大声で”ヤッタ~”



で、どっち行きゃあいいんだ?とにかく方向音痴はなはだしいからな。

ここでピンときたね~。

足先がこっち向いてるんだから反対に下りりゃいいんだ。ここだけ冷静な判断だったな。


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こんな話を書けばハルリンさんやpat*****さんにヒンシュクを買うのは目に見えてるけど、

元の道に戻れたのは奇跡的?

こんな緊急時に写真撮ってるヒマはないと、クビにぶら下げてたカメラをリュックにしまったので途中写真ナシ。

やっとカメラを取り出して、陽のあたるおだやかな道を撮る余裕が出た。


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あの山の中をグルグルしたんだな。

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雪が融けた枯れ葉の道を鼻歌交じりにおりながら、シカを一瞬見かけただけで

人間には一人も出あわなかったな~、というより 一歩間違ってれば・・・

良い子のみなさんはマネをしないように。

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そうして帰り道の天目山温泉に浸かり、

露天風呂で葉を落とした木々のあいだの青空を見上げながら、よかった~って・・・



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←その時 待てよ、ここは塩山か・・・(つづく)