
香典返しの紙袋をぶら下げながら、ぶらぶら日暮里まで囲碁会。
立て替えた香典と引き換えに、その袋をボルボに渡しやっと一息。
朝、出かけるときに忘れちゃって ナニに大声で追いかけられ、
こりゃ網棚に置くとヤバイとしっかり抱えてたからな。
会場に着きゃ、アベシンノスケが玄関で待ってて
「遠くから歩いてくるの見てたけど、やっぱり歳相応になってきたね~」
どういうこっちゃ?
いやァ、30年前に別れたときのイメージがまだアタマに残ってて・・・
そんなもなァ、お互い様や!
初戦は80歳をとうに越えたKさん、例によって碁というよりどちらが早く打つかという競争に勝ち、
「Kさんもそんなに先が長くないんだから、面白い話、聞かせといてよ」
Kさんは一応社会派のルポライターとして仕事をしていたが、それだけじゃ食えないってんで
フリーの芸能の仕事も引き受けてた。
三國連太郎は惜しいことに三年くらい前に亡くなったけど、偉ぶらない大好きな人間だったな。
たかが一匹の記者にすぎないオレにもきちんと丁寧に接してくれた。
三國はああ見えて酒は全くダメ、銀座の松坂屋の裏にあった喫茶店に入ると
お客が三國連太郎だと騒ぐのもおかまいなしに、「そこの席にしましょ」と席に着き
「ねぇKさん、世間じゃ私と嵯峨美智子がデキてるなんて言ってるけど、そんなことはありませんよ」
何人ものお客が、一斉に聞き耳を立ててる様子がわかるけど、そんなのは一切無頓着。
「私はねKさん、太地喜和子とは寝ましたよ。でも嵯峨とは何の関係もない。
それより好きなのは松坂慶子なんですよ。それでね、あるとき一緒に出た舞台で
彼女の耳元で 今夜私と付き合わないか?ッて言ったの。
そうしたら彼女、私の足を思いっきりふんづけてきて・・・
まあ、またアタックするつもりですけど。」
周りが気になり、Kさんのほうが困ったけど、三國ってのはそういう人だったと。
そのあと近くのサウナに行ったら、そこでも大きな声で
「私ねぇ、男として恥ずかしいことがあるんですよ。ソチンなんです。親を恨みますよ」って・・・
倍賞千恵子と石立鉄男が付き合ってるらしいから取材してくれって頼まれ
のっけから「石立のことで」なんて言ったら「関係ないわ」でオジャンだし
一応事務所を通して、それも「倍賞さんの日常生活」ってことで
その中で恋愛観などにかこつけて聞こうってコンタンで、撮影所に行った。
初日は時間がなく、明日は少し時間をとってくれと約束をとりつけ二日目、
昼近くになったら倍賞が扮装のまま「お待たせしてごめんなさい」
と弁当を二つ持って現れて、「お昼ごはん、まだでしょ?」
今朝、私が作ってきたからお話しながら食べましょ、とアルミ製の女物の弁当を一つよこしたけど
多分、妹の美津子が学生時代に使っていたもの?
そうして、いろいろな話のあと本題に入れば
「そうだろうと思ってたの、石立さんとはお友達だけど結婚対象じゃないわ
だから倍賞、石立と深い交際とか書かないでね」
単なる友達であるとやんわり否定され、でももし結婚なんてことになったら自分は失業しちゃう
と、念押ししたが結局 石立とのウワサはいつのまにか立ち消えになったな。
「男はつらいよ」のサクラを見るたびに、あの日 撮影所の隅のベンチで二人並んで食べた
弁当の味を思い出す?あんな気さくな庶民的な女優は今はいねぇな・・・
というようないい話を聞いたあと4連敗してドベ。
上の写真は、真ん中のボルボの白が一手違いで全滅、
オレの碁じゃないけどよくこんな碁を打つね~と記念撮影。