
ゴルフの翌朝は、疲れた筋肉を癒すため一駅前で降りてテクテク出勤。
昨日のような青空なら、スコアに関係なく足も軽ろやかに動く。
途中、某大学の塀に沿って クルマも通れない細い道を行くが
塀の向こうは、大きな見上げるようなイチョウの大木が何本もそびえてる。
昨日は、おじさんが白いレジ袋を手に持ってしゃがんでて
「ギンナンですか?」 思わず声をかけたら
そう、昨日からたくさん拾ったよ。 塀の外にもおすそ分け?
イチョウの葉はまだ青いけど、そろそろそういう季節.なんだな~。
高校三年の時の同級生に ハシヅメ君というのがいて、
オレは運動部、奴はなんだったか文化部に入ってて、ほとんど言葉も交わさなかったが
秋の文化祭のクラスの実行委員長になって、「花笠踊り」をやる?
なんでここらで花笠音頭なんだと、サボタージュを決め込み
文化祭の日が近づき、放課後もみんなで練習してるのをヨコメにサッカーをやってた。
当日、すべての出し物が終わったころを見計らい、キャンプファイアー目当てに学校に行くと
暗くなった校庭に火が焚かれ、正面に張られたテントの前でハシヅメが先生に向かって大声をあげてる。
時間が押してて、花笠音頭のレコードを途中で止められ踊りもストップされたんだとか。
そりゃ、熱血漢のあいつが怒るのもムリないやと思いながら、こっちは暗闇でファイヤー?
オレが京都の某私大に入った翌年、下宿のあった京福電鉄八幡前駅の踏み切りでハシヅメとバッタリ。
なにしてんだ?と聞けば、一浪して京都大学の哲学科に入った?
おまえね~、京大ならなんでもいいってもんじゃねぇぞっ、と言いながらちょっぴりうらやましかったかな。
こちらは夜中まで麻雀三昧、生活時間がまったく違うのか 同じ駅なのにほとんど顔をみなかったが
ある日 会ったら 「ギンナン食わすからおいでよ」
食い物に誘われあとをついてゆけば、そこはオレが電車の窓から見て
ゼッタイ昔の豪族の墓だと思ってた こんもりとした丘。
雑木林の中を分け入って、きったね~下宿の三畳間に上がり
本棚を見れば、オレの軟弱なのと違ってカタイ本ばかり。
ギンナンは土に埋めてなんやらかんやらと能書きを聞き、哲学の講義を受けた覚えはあるが
印象に残ってるのは、フライパンで炒めたギンナンの匂いと ヒゲ面の奴が着てたハンテン。
そう考えると、冬もはじまりの頃だったか。
暖かくなった頃、久しぶりに会ったら、「ひゃ~タイヘンだよ」
埋めといたギンナン忘れてて、みんな芽がでてきちゃった・・・
それっきり、いつのまにか下宿を引越して 以来まったく音沙汰なし。
今頃、なにしてんだ?アイツ。 いまだに哲学 語ってるか?
あのイチョウは、古墳の上で育ってるか?
そんなことを思いながら歩いてたら、30分のみちのりもあっと言う間。
スコアがいいときは、一打一打思い出しながら歩くんだけどね~。