
ムラサキシノブの枝が縦横に張り出し、
マゴに刺さるとアブナイからどうにかして、と言われ
切ったってまた伸びる、別のところに植え替えるかとヘンな気を起こしたのが仇
シャベル片手に木の周りを掘っても、根が張っててビクともしねぇ。
え~い、こうなりゃ意地ダァ。
狭い場所で悪戦苦闘、汗びっしょりになりながら引っこ抜いたら
手の甲やら腕やらほっぺたに無数のスリ傷、これじゃ「切られの与三」じゃねぇか。
与三郎 「え、御新造(ごしんぞ)さんぇ、おかみさんぇ、お富さんぇ、いやさ、お富。久しぶりだなぁ~。」
お 富 「そういうお前(まい)は。」
与三郎 「与三郎だ。」
お 富 「えぇっ。」
与三郎 「おぬしぁ、おれを見忘れたか。」
お 富 「はぁっ。」
与三郎 「しがねぇ恋の情けが仇(あだ) 命の綱の切れたのを どう取り留めてか 木更津から
めぐる月日も三年(みとせ)越し 江戸の親にやぁ勘当うけ よんどころなく鎌倉の
谷七郷(やつしちごう)は喰い詰めても 面(つら)に受けた看板の
疵(きず)がもっけの幸(せいうぇ)いに
切られ与三(よそう)と異名をとり 押借(おしが)り強請(ゆすり)やぁ習おうより
慣れた時代(じでえ)の源氏店(げんじだな) その白化(しらばけ)た黒塀(くろべえ)に
格子造りの囲いもの 死んだと思ったお富たぁ お釈迦さまでも気がつくめぇ
よくまぁ おぬしぁ 達者でいたなぁ。
おい、安やい。 これじゃぁ一分(いちぶ)じゃぁ 帰(けぇ)られめぇ~。」
動画は尾上菊五郎だが、先日BSでみた、市川染五郎の与三郎もよかった。
ヤサオトコの遊び人風の与三郎、染五郎の当たり役になるんじゃないの?
役者がそろってどうなることやら・・・