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夜が涼しくなるのを待ちわびてたように
 
ヤブランの紫の花がスッと伸びて
 
 
 
その前の、半日陰になるような絶好のポジションに植えたキレンゲショウマ
 
植えた時からつぼみのままで、一向に咲く気配をみせないどころか
 
葉っぱは虫食いだらけ、一番大きかったつぼみも虫に食われたあとがポッカリ。
 
 
 
 
 
「起こったことに過敏に反応してはいけない。
 
やわらかくやり過ごすことです。」
 
敬愛する中部銀次郎はそう言って
 
「敗因はすべて自分にあり、勝因はすべて他者にある。」
 
 
 
 
 
虫に食われたことを怒ってはイケナイ。
 
ウチじゃお犬様のために、農薬ゼッタイ禁止だし、
 
四国の剣山山系に咲く、別名「天涯の花」といわれるキレンゲショウマを
 
こんなところに植えたオレが悪かった?
 
まあ、今年の夏は特別に暑かったからなって
 
他人のせいにしとるやないか。
 
 
 
明日は、暑さ寒さものお彼岸の中日。
 
秋分の日杯というのにエントリーしている。
 
 
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昭和29年9月18日、吉野川中流域にある三加茂町の松巌寺に生後二ヶ月の
赤ちゃんが捨てられていたのを住職、小暮博之が見つけます。
書付には名前 平 珠子と生年月日が記されていました。
 
その乳児は小豆島の乳児院に送られ、二年後小暮博之が開園した養護施設
に引き取られました。
 
そんな環境の中で野の花が好きな素直な少女に成長します。
しかし、養護施設は義務教育が終わると巣立っていかなければ成りません。
園長は珠子を園に残して高校まで面倒を見ても・・と思うようになります
 
そんな時に電気も無い、郵便も届かない剣山にある剣神社から養女の話が
持ち上がりました。
園長は神職、白塚国太郎夫婦の老人介護に行くようなものでないかと迷うのですが珠子は私一人の両親を持ちたい、山には好きな花々があると養女に行く事を選びます
 
養父母と珠子の三人の生活は厳しいものでしたが美しい高山の花が珠子
の心を慰めます。
そんな日々でしたが病弱だった義母は亡くなり、妻に先立たれた国太郎も次第に元気を失い珠子を頼るようになります。
 
山に来て三年目の夏、剣山の山小屋の息子、典夫にキレンゲショウマの花の
ある所に案内されます。
 
珠子は其の時、1つ1つの花が月光のように澄み、凛として気高く咲いている
のを見て心を打たれます。
その典夫からプロポーズされますが感謝しつつも返事はしませんでした
 
翌年の夏、キレンゲショウマの咲いてる場所に珠子一人で行くのですが
瀕死の遭難者を発見し、三時間かけて神社まで運び、懸命に介護します。
 
久能卓郎、高山植物に魅せられてキレンゲショウマの写真を東京から撮りに来たカメラマンでした。
珠子は久能からキレンゲショウマが如何に世界的にも珍しい花かを知ります。
そして珠子は次第に久能に惹かれて行くのです。
 
二ヶ月余り経った十一月初旬、久能の妻が現れ、東京に戻るのですが久能は
妻と別れ帰って来ると珠子に約束します。
一方、山小屋の典夫から国太郎も一緒でいいからと言って結婚の約束を
迫られます。
 
久能の言葉を信じるのですが、久能は何時までたっても帰ってきません。
冬が過ぎ春になり久能の帰りを待ち続けます。
 
ある夜、珠子は久能の夢を見ます。「ようやく離婚の問題も片付いたんだよ、
待たせてゴメン」と言いながら神社の石段を登ってくる久能、
珠子は「久能さ~ん」と石段を駆け下ります。
夢は正夢でした。 その頃 久能は剣山に向かっていたのです
 
しかも神職として神社を守っていくことも決意してキレンゲショウマの咲く地に
向かっていったのです。   
                        @資料 天涯の花・宮尾登美子著 集英社