
金柑の実が黄色く色づいてきて、朝、カーテンを開けると
実をついばんでたヒヨドリが、あわててバサバサッと飛び出る。
木の下には、食い散らかしたキンカンがたくさん落ちてるが
ウチじゃジャムを作る気配もないし、オレが一ツ二ツつまんで齧り、ウン、キンカンの味だと確認して、
トリのせいにしてホッポるぐらいのもんだから、落着いて食べろや。
昔~シ結婚したての頃、毎年お正月にナニの実家の紀州に帰省し、
お義父さんにあちこち連れて行ってもらった。
海に釣りに行った時は、外道も外道、ボラやウツボまで持ち帰って食べさせられた。
翌日、山にヒヨドリを獲りに行こうと言われた時にゃ、イヤな予感がしたけど
どうやって獲るかの方に興味がいき、軽四輪で山の中の金柑畑に・・・
畑の手前でクルマを降り、荷台に積んであった石油缶を持って、
シ~ッ静かにと抜き足、忍び足で青いアミに長方形に囲われた大きな金柑畑に近づき
中をのぞいて、お~いるいる。
と、イキナリ石油缶を棒でガンガン!ガンガン!
ヒヨドリの群れは大パニックで、天井にあいたスキマから我先にと逃げ出して行ったが
間違って網に突っ込んだ奴は、アワレ御用。
トリ肉がニガテのオレとしては、その後の工程は関知せず
皿に乗って出てきた、生前の1/4ほどの大きさになったオカシラ付きのヒヨのヤキトリにウッ。
「ウマイから食ってみろ」と言われ、イヤとも云えずクチにしたのは覚えてるが
味が思い出せないところをみると、飲み込んだのかな?
キンカンも罪作りだ。
ヒヨドリも、広島の刑務所から脱走した中国人も
座礁した船から逃げ出したイタリアの船長も
言い分があるだろうに・・・
かわいいもんやて。