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囲碁は陣取りのゲーム。
陣地を多くとったほうが勝ちである。
だが、決着がつくまでに
自分の陣地に入ってきた敵の石をとったり、とられたりと
少々わかり辛いところがあり、最初はとっつきにくいゲームだ。


前にいた会社は囲碁が盛んで
昼休みにはあちこちで対局がおこなわれていた。


習うより慣れろで、見ているうちに覚え
社内の囲碁大会にも出るようになった。
最初は一番下の9級で、次の年は8級で出た。


ハンディもたくさんあって
トントン拍子で5回、勝ち上がり準決勝。
相手はN工場の強敵。


部長が
「あいつは強いぞ!クチじゃ言えないから
 いい手があったら、イスを蹴飛ばしてやるよ」
「お願いします!」
と言ったけど本当に蹴飛ばしてくるとは思わなかった。


”メクラ判を押してください”と伝票を差し出せば
本当に目をつぶって”この辺か?”と判子を押す
まっ、そんな部長だったけど。


横に部長が座り、まわりはたくさんのギャラリーが見守る中
対局の山場、イスの下からトントンと静かな振動が伝わってきた。


ハッと思い出して、熟考一番、妙手を発見して快勝。
次の決勝も勝って、番狂わせの優勝をした。


小料理屋「桔梗」で
「バレたらヤベ~な~」
といいながら大笑いで祝杯を上げたのも、こんな梅雨の晴れ間の宵だったナ。