稲尾といっても今は知らない人の方が多いだろう。
九州にあった西鉄ライオンズのエースとして、昭和30年代に大活躍。
一塁へ牽制球を投げた時、
「目を開けて投げろ!」
と言われたほどの細い目で、サイに似ているからと
付いたニックネームはサイちゃん。
年間42勝、シリーズ4連勝と、信じられないような成績を残し
神様、仏様、稲尾様と謳われた稲尾和久が昨日、逝った。
今朝の朝日新聞のコラムでは、
昭和33年の日本シリーズでのエピソードを書いている。
その年、新人だった長嶋茂雄との初対決。以下抜粋。
▼稲尾はじっと目を見たが反応は何もなく、戸惑いながら得意のスライダーを放る。
「ぼ~っと立っていた肢体が突如反応し・・・・打たれたことのないコースを打てるはずのないフォームで打たれた。味わったことのない恐怖を、私は覚えた」(日経新聞社 私の履歴書)
▼長嶋は何も考えていないらしい、と気づくのは3連敗の後である。本能で反応してくる天才打者を相手に、それならと、ノーサイン投法で挑んだ。ここからの4連勝は語り草だ。
その年の春の長嶋の4三振のデビュー戦、
そして、今まで聞いたこともなかったシリーズ3連敗からの4連勝。
稲尾、自ら決勝のホームランを打ったりと
子供の頃、胸躍らせてラジオに聞き入ったものだ。
▼「戦後の復興を果たし、成長し続ける日本・・・・そうした時代のエネルギーが西鉄ライオンズに、私の右腕に注入されたのだ」(同)
神様、仏様、稲尾様の鉄腕稲尾は本当の神様になり、伝説になった。
冥福を祈りたい。
いつか、今年のシリーズの最後の継投も、伝説になるだろうか?