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西の方では春一番が吹いたようだ。
こちらでも夕方から強い風になってきた。

春一番という呼び名は、
能登や志摩地方の船乗りが使っていた言葉が
戦後、気象用語として広まったそうだが
オレ達が子供の頃は、まだ聞いたことがなかった。

生まれ故郷の南信州は雪こそ、あまり降らないが
非常に寒いところだ。

小学校の1~2年生の時だったと思う。
長い冬がようやく終わりかけ、
凍っていた谷川の下に水の流れる音がちょろちょろ聞こえだした頃
いつもとは違う方向から強い風が吹いた。

風は冷たいものと思っていたけれど、南から吹くこの風はナマ温かく
不思議な思いをしながら風に向かって歩いた。

天竜川につながる川を見下ろす段丘の上で、
風に向かって身体を倒しても、風が持ち上げてくれる。

近くに咲いていたアケビの花の匂いが混ざって
ウワーっと大きな声を出したいような、シアワセな気分になった。

家に戻って母に
「今日の風は寒くなかったよ」
と興奮しながら叫んだのを覚えている。

後年になって、春一番という言葉が言われだした時、
ああ、あれがそうだったんだと思った。

春一番は誰でも、気分が高揚するんだろう。
「元気ですか~!元気が一番!元気があればなんでもできる!」
という奴や
「普通の女の子に戻りたい」
という娘がでてくるのもいた仕方がないのだ。

イメージ画像をブログ友達のTigerさんに作って貰いました。
Thank you!