月日が経つのは早いものだという陳腐なセリフを吐きながら
ず~っと昔、「おそくとも十一月には」という題名の本を読んだことを思い出した。
その本を本棚に探したが、ない。
そういえば誰かに貸したような覚えもあるが、
誰だったかさえ忘れている。
妻と夫がいる男女が初めて出会ったパーティーでお互いにドキッとし、
その良家の奥さんに向かって
「おそくとも十一月には、迎えにくる」
と男は言う。
悲劇に終わることはわかりきっているのに
その甘美さとなら引き換えにしても良いと、
そして、最後はやはり、自動車事故で死ぬというような話だったが
読後は、なにか爽やかさがあったように覚えている。
あの頃は本を買うのに「題名」で選んでた。
今でもそのクセが残り、ブログを訪問するにもまずタイトルや名前を見る。
だが、イメージと違う人も、いないことはないのである。