吉田拓郎の歌がラジオから流れてる。
オレにも ささやかながら、夏休みの思い出がある。
40年近く前、学園紛争のはじまる前の年だったか、オレは京都で学生生活を送っていた。
7月に入り、前期の授業が終わると、皆、それぞれの故郷に帰り始める。
オレは京都が好きで京都に来たのだし、休みになったらあちこち巡ろうと思いながら、ダラダラと暑い夏を過ごしていた。
学生達が多く住む下宿街は比叡山の麓にあり、いつもはガヤガヤとうるさい街がそのうち人っ子一人いなくなり、ガラ~ンとしてしまった。
本屋からの帰り、太陽が照りつける昼下がりにシ~ンとしたメインストリートを歩くと、オレの下駄の音がカラ~ンコロ~ンと通りに響いた。
急にサトゴコロを覚えて
「オレも帰ろ」
8月も大分経った大文字の送り火の頃だったな。
夏休みと聞くとこの下駄の音を思い出す。
そして、京都での4年間はオレの人生の夏休みだったなって、ちょっと格好つけすぎだ~。