ゴルフの朝は楽しい。バッグを車に積んで、運転席に座れば、もうマイワールド。
お気に入りの「サザン」の曲を聴きながらゴルフ場まで一っ飛び。太陽が顔を覗かせていれば言うことなし、運転にも気合が入ってスピードもあがるというもんだ。ゴルフの朝が楽しいのは当たり前だが、オレにはもうひとつ訳がある。


オレがゴルフを始めたのは27歳の時、もう30年以上も昔の話だ。A日タウンズという、立川、八王子方面のタウン紙の初代編集長をされていたU野雄志郎さんという人に手ほどきをしていただいた。
U野さんは、スラッと背が高く、馬名も「スマートシロー」とつけられていたほどダンディーで、ゴルフをはじめ、麻雀、囲碁、お酒の席とお付き合いさせていただいたが、会話も大変洒脱な方だった。


初めて連れて行っていただいたのが、U野さんのホームコースであるH王子GMGで、それからちょくちょくお供した。ゴルフの朝は、当時まだ木造だった立川駅の西口まで車で迎えにきてくださる。オレは南武線で、もう一人のN山一郎は千葉から電車できて落ち合い、そこからGMGまで1時間半くらいかけて行くのだが、そのドライブが本当に楽しかった。

まず、U野さんが
「今日のテーマミュージック」
といって、この日のためにカセットテープに録音してきてくれた心弾む軽快な音楽をかける。それを聴きながら、春には桜を眺め、秋には紅葉し栗のイガが落ちてるようないなかの道を、いろいろな話をしながらウキウキ気分でいくのだった。

このときの楽しい想いが今でもオレにあって、これから始まる今日のゴルフのことを考えてゴルフの朝は気分が高揚するのだ。


U野さんには人生の楽しみ方を教えていただいた。次々と楽しい予定をたて、それを楽しむためにいろいろと工夫をした。「カセットテープ」もそうだし、ゴルフ旅行にいけば、奥様の手料理を持参してくださった。
だから、周りの皆はUさんのことを、「人生の達人」と呼んだものだ。