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今年の面白エピソードその2

いつも一緒に廻る Jちゃん,オレと同じ団塊世代の58歳。われわれの仲間うちでは、1番の紳士で1番の飛ばし屋。そのJちゃんがイップスにかかった。イップスというのがあるとは聞いていたが、本物を見たのは初めてである。
それもパターのイップスではなく、ティーショットのドライバーを打つ時に、バックスィングができなくなって固まったまま動かないというか動けなくなってしまうのである。

夏ごろに、どうもドライバーを打つ時に、構えてからバックスィングに移るのに時間がかかるなあとは感じていたのだが、ある時、
「イップスになっちゃったよ」
と自分から告白した。
「えー、あれがイップスなの?」
と答えたがその後、ますますひどくなり、最盛期は、ドライバーを構えたまま10秒くらい動かない。
見守るオレたちも動かない。動けない。
するとJちゃんは、いったん構えを解いて大きく息を吐いた後、また、構えなおす。オレたち3人とキャディーさんも息をついて、また固唾をのんで見守っている。と、そのうちじょじょに身体全体が右に傾きだし、そこで、きっと本人は「えーい、ままよ」と言う気分なんだろう、バーーっとクラブを振り上げて打つのだが、当然、ボールは どフックして左の林へ。
「あーーあ。」とみんなでため息をつく.

しかしこの男は泣き言は言わない。そのあと、うまいことリカバリーをしてきて、せっかく病気にかかってくれているのにそんなに差がつかない。

「どうしてそんなんになっちゃったの?」
と聞いても、首をひねるばかり、まあ、原因がわかってれば苦労はしねーな。それが2ヶ月ぐらい続いた。

ところが、いつの間にかイップスはどこかにいってしまった。普通に打っている。
「直ったの」
「うん」
といってニコニコ笑っている。どうして直ったのかもわからず、本人も知らないうちに直ってしまったそうだ。
「もうちょっと、続いてくれればいいのに」
と憎まれ口をたたいたものの、まあ、よかった、よかった。それにしても、なんだったんだろーね、あれは。

そして、今では、病気になる前より、もっとすごい球を打っているのである。