今週は所要があってゴルフにいけないので、今年のおもしろエピソードその1.

前にも書いたが、森前首相に風貌の似ている Iちゃんは、がき大将がそのまま大きくなったような奴で、もう還暦をとっくにすぎているが、ニギリのハンデ決めでも何でも自分の気にいるように無理押し、ゴリ押しをして通してしまうような、しかしそれでも愛嬌があって憎めず、皆から信頼され親しまれている奴だ。

 春3月のはじめ、すごく寒い日だった。そのIちゃん、Jちゃん、T島とオレの4人でホームコース、H千葉C.Cでのラウンド。今日、Iちゃんとはハンデ4をあげてにぎっている。東1番パー5.Iちゃんの第1打は右へふけて1ペナ。3打目を打ったあとオレが打とうと思ったらオレのタマじゃない。
「これ、オレんじゃないよ」
というと、Iちゃんが
「じゃあ、間違えたんだ。はじめてだよ、誤球なんて」
と言って打ち直した。

少し、怪しい雰囲気が漂いはじめた。

結局6オン。そして、70センチほどに寄せたパット、これははずさないだろうと思ったのが、「アッ!」まさかの3パットで9。おれは楽々のパーで5。その差4で今日のハンデはこれで消えたなと思った瞬間、Iちゃんが噴火した。

「もう、やめた。帰る。」
おれたちは、顔を見合わせ、「えっ??」
「寒いし、やってられないよ。帰るから、キャディーさん、バッグおろして」
とすごい剣幕でキャディーに命令する。キャディーさんはかわいそうにオロオロして、おれたちに助けてと目で訴える。
「早くおろせよ」

「はじまっちゃったよ」と思いながらここで突き放せば、本当に帰っちゃうし、なにより4人で廻る楽しみがなくなってしまう。ここはなだめにかからなくてはと思った時、T島が言った。
「じゃ、どうやって帰るんだよ」
T島の車にIちゃんは同乗してきたのだ。
「タクシーで帰る」
そのひとことでみんな大笑い。少し、Iちゃんの気分が落ち着いたところで、オレが追い討ち。
「Iちゃん、***の常務が、1番で9をタタイたからって帰ったんじゃあとで何いわれるかわかんねーぞ!」
それから、おれたち3人は、仁王立ちして、キャディーさんをにらんでいるIちゃんを残して、さっさと2番ホールに向かった。そっと振り返ると、キャディーと二人でトボトボとあとをついてきた。どうやら、続ける気らしい。

しかし、終わってみたら、オレは86でIちゃんは90.ニギリはちゃら。1番ホールで騒いでストレスを発散したIちゃんにうまくしてやられた結果となったのであった。