【ビジネス】起業と倒産の失敗学 | 本を片手に街に出よう

【ビジネス】起業と倒産の失敗学



畑村 洋太郎
起業と倒産の失敗学

 人間、全てが上手くいきかけた時に、既に失敗の兆候があったりするもんですよね。

 そんな状況から転落した、ベンチャー企業の失敗を分析した本です。

 その分析手法は見習うべき凄さ。なんと当事者とは一切コンタクトをとらず、全ては公になっている情報をあつめて、分析・推論しているのです。

 冒頭、いきなり身近な「牛丼の吉野家」の事例をひきあいにしつつ「失敗から学ぶノウハウとは」みたいな解説を行います。

 ノウハウというと、たいていの場合は、「こうすべき=マニュアル」とか「これはするな=べからず集」、「こんな失敗しちゃいました≒べからず集」、といった感じのノウハウで止まっているのが世の常ですよね。

 それでは不十分で、「どう失敗したか」「なぜ失敗したのか」「どうすれば避けられるのか」まで分析せよ、と仰います。

 確かにその通りだ、と頭では理解していても、いざ自身の失敗のノウハウをまとめよ、と言われるとなかなか深堀できないものです。

 人間、失敗をグリグリとほじくられるのは誰でもいやなもんですよね。

 それを、新聞記事や財務諸表などの情報から当事者をして「よくインタビューなしでここまで書けたものだ」といわば謝辞までコメントされるくらいに、徹底して分析しています。

 著者によれば、失敗の主要要因は概ね10に大別できるとのこと。
 
 欲得、気分、うっかり、考え不足、決まり違反、惰性、格好、横着、思い入れ、自失

 それぞれごとに事例を紹介してくれます。

 これがまたライブドアばりの粉飾があったりとか、「社長、おたわむれを!」と言いたくなるような思いっきり個人の気分や思い入れで行動して足元をすくわれるだとか、「あんた、財務って知ってる?」と目を覆わんばかりの金策の甘さ、など、上り調子になった時の人間の心理というか、行動パターンとして、実に興味深い事例ばかりです。

 巻末に文庫化ボーナスとしてライブドアについての分析までついてます。

 通勤時間のお供に買ったにしては、興味深く読めて、お得でした。


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内容(「BOOK」データベースより)
 強くしなやかな会社をつくり、日本経済を元気づけるために必要なこと。それは失敗に学び、新たな創造・挑戦に乗り出すことだ。優良企業としてのぼりつめながら倒産したベンチャー企業10社を「失敗学」で徹底的に分析。そこからはライブドアの失敗の本質も見えてくる。起業家のみならず、全ビジネスマン必読の失敗学実践書。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
 畑村 洋太郎
 1941年生まれ。東京大学大学院工学研究科修士課程修了。東京大学大学院工学系研究科教授を経て、工学院大学国際基礎工学科教授、東京大学名誉教授。 2001年より畑村創造工学研究所を主宰。02年より特定非営利活動法人「失敗学会」を立ち上げ初代会長に就任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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