イーオン・フラックス | 本を片手に街に出よう

イーオン・フラックス

 「モンスター」から一転、ビューティフルアクション系シャーリーズ・セロンみたさに鑑賞。モンスター→スタンドアップ、と葛藤系が続いたので、本人もやりたかったみたいですね。こういうの。

 人類の99%がウィルスで死滅し、残る数百万人がブレーニャと名づけられた最後の街で「グッドチャイルド家」の独裁のもと暮らしている近未来、反政府組織「モニカン」のエリート工作員「イーオン・フラックス」がグッドチャイルド家の主であり人類の頂点に君臨するトレバー・グッドチャイルド暗殺の極秘指令を受けて行動を起こす!

 何てったってシャーリーズ・セロンの常軌を逸した美しさがウリ。

 レオタードの出来損ないみたいな安っぽいコスチュームだろうが、元バレエ・ダンサーの経歴を活かした開脚!ポーズのポスターが鼻につくくらいに東京の街中にあふれていようが、美しいものは美しいのだ!

 「モンスター」でやりすぎちゃったのか、アップになると微妙に小皺が見え隠れするのもご愛嬌、黒髪セロンは凛々しさ核爆級。

 …ところで、セロン以外のウリはといえば…

 世界観:和風テイストをそこらじゅうに匂わせ、親近感を抱くも???な感じも受ける、プチ・ジャポニズム。
 唐傘をさしながら歩く人々、支配者グッドチャイルドの肖像画には日の丸チックな背景が描かれ、水連が浮かぶ池で茎をくわえ水中に沈み、クライマックスは桜吹雪を散らせながらの銃撃戦。
 それもそのはず、監督のカリン・クサマは日系ですわ。

 様式美:グッドチャイルド家の屋敷?宮殿?の建築デザインがイカしている。直線と曲線、特に円形、楕円形を組み合わせた幾何学的なデザイン。絵的にも光と影のコントラストが際立つ、何ともいえないビジュアルである。

 てな感じで、それなりに未来の世界を構築しているのではあるが…

 展開の仕方と、セロン以外のキャストはどうかなあ!

 ストーリーはちょっと荒唐無稽。イーオンが属する反政府組織「モニカン」の反抗理由ってのが劇中で殆ど観られないし、イーオンが戦う理由ってのもイマイチ分かりにくい。○○が殺される展開や、敵味方の寝返り方も唐突だ。

 そしてキャスト、マートン・ソーカスはちょっと暗めである。なんかこう、覇気が感じられないんだよね。弟役もしまりのない面構えだし。
 ダース・ヴェイダーほど"悪の華"はなくてもいいから、もうちょっと危ない魅力のある男でも、いいんじゃないの?

 まあセロンによる、セロンのための、セロン・ショウ、といった趣きの映画なので、細かいアラはこの際無視して、オリエンタル+幾何学的デザイン空間に凛と佇むセロンの超絶ビジュアルショーを楽しみましょう。

 どっちかというと、コレがオススメかも…

パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
イーオン・フラックス オリジナル・アニメーション コンプリートBOX

 マトリックスに代表される、アニメと実写のメディアミックス戦略をまたやりやがった!アニメではだいぶマッチョでツイギーなイーオンですが、実は90年代作品なのです。



BGM->Heartsdales"Heart Attack2"2005

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