【小説】宇宙消失 | 本を片手に街に出よう

【小説】宇宙消失





著者: グレッグ イーガン, Greg Egan, 山岸 真

タイトル: 宇宙消失







 序盤はクエストもの。中盤は量子論全開の謎かけ(難しいッス!)。終盤はSF的解釈による宇宙規模の謎解き、というよりもまさに"収縮"。

 そして物語り全般に漂うナノテク、サイバー臭。





 濃いです。小難しいのが駄目な人は駄目だね…量子論とか量子力学の概要くらいは勉強しないと、楽しめないでござる。



 オープニングは「2034年、地球の夜空から星々が消えた…」って荒唐無稽ながらもそれらしいSF的な始まり方なのだが、いざ物語はというと、割と精神世界、自問自答的、思考の袋小路状態が続く閉鎖的ストーリー展開。





 印象的なのが「モッド」と呼ばれる脳内機能拡張モジュールみたいなのをいかにもフツーに使っている描写。



 これにいろいろ種類があって、いちいちやれどこのメーカー製だとか、何ドルだとか、解説してくれる。



 不安感情をなくしてしまうやつとか、眠りを制御できるやつとか、潜在的な自分の記憶からキーワード検索できるやつとか、アイデアも小気味がいい(単純に脳内にコンピュータを実現するモッドの名前がフォン・ノイマンっていうのには笑った)。

 警官に装備される強化モッドP1~P6という設定もサイバー臭たっぷりで良い。





 とここまでは、ギブスンファン、マトリックスファン、攻殻機動隊ファンなら楽しめるのであるが…





 中盤で出てくる量子論。これが難しいですよ!

 波動関数の収縮、とかイキナリ言われましても…学のないあちきには無駄無駄無駄ァッ!ってな感じで波紋攻撃、なら知ってるんだけどな…



 自分の場合は、とりあえず分かんないところはふんふん♪とすっとばし気味に読んで、最後まで読んで、巻末の解説を読んで、それでも分かんなければ一度Web上で量子論について情報収集を行い、改めて読み直すと、おお!すげえ!という紆余曲折な読み方をしてやっと本作の真骨頂を味わえた、という感じである。



 地球の夜空から星々が消えたワケは…これが量子論的にはかなり「アクロバティックな」解釈で謎解きされる。解説の受け売りですごめんなさい。





 ふう。いろんな意味でハードな作品なので、感想書くのも疲れた…

 兎に角さらっとしたSFに飽きた人は、チャレンジすべし!







BGM->グラス・バレー"LOGOS~行~"1989

#マニアックすぎかな…結構良いバンドだったと思うんだけど