悪魔の手毬唄

タイトル: 悪魔の手毬唄
おとついのCOWBOY BEBOP でのnon 様へのコメントが予告編になったが、衝動買いついでにおもわず買ってしまった、前から「持っていたい」願望のあった作品。
#書評カテゴリなんだけど映像作品比率増加中…
いやあ、名作っすよ。
金田一耕助モノの中でも一番傑作、いや邦画の中でも最高傑作の部類ではないかと思う。
ただでさえどろどろの原作に対して、日本の原風景的な映像、おどろおどろしい雰囲気を盛り上げる音楽、味のある演技派キャストがそれぞれホント「いい仕事」をしている。1977年作品。
こんないい映画が撮れていたのに、何で元気なくなっちゃったんでしょうね日本の映画は。
#世界に通用する映画だと思うが物語のベースが口碑、血縁といった純日本風なのでそこがどうかな…海外の皆さんがラストサムライのようなある意味分かりやすい美しさを期待するのであれば、ちょっと難しすぎるかもね
この監督、エヴァンゲリオンで有名な庵野秀明監督がオマージュを多用している事でも有名。
オープニングの
監 督市川 崑
から既にもうそのスタイリッシュな映像美の虜。
磯川警部が重要な手がかりを聞いて動き出す急展開を静止画をつなげて見せたり、金田一が考える様子を細切れ連続映像で見せたり…などなど。
#物語がざわざわした展開になってくる瞬間に「ざわざわした森林の風景」に突然切り替わり5秒放置。こんなことされたら怖くて寝られないよ!もはや映像テクニックの域を超えた、深層心理学的表現とでも言うべきか…
独特の表現術は、巨匠だけあっていろいろなところで語られているので素人の自分がこれ以上多くは語るまい。
横溝正史×市川崑×石坂浩二。サイコーだね。
石坂浩二もベストof金田一だと思うが、なによりも本作品のココロの主役は、若山富三郎。かっこよすぎ。
途中の、縁側での岸恵子との純愛シーン(タバコを吸う仕草に味が出すぎ)や、最後の汽車が発車する別れのシーン(ここは超有名ですね)、金田一とチャリ2ケツのシーンなどなど。哀愁漂う元情熱男の枯れっぷりが上手いね。
ほかにも岸恵子、加藤武、大滝秀治、三木のり平、など味出しすぎ。特に大滝さんと三木さん、あなた方はほんのちょっとしか出ていない(特に三木さんは1シーンのみ!)のに、何でそんなに印象的なんだ!
こういう人たちのことを「映画俳優」というのだろう。
何故邦画が元気ないのか?1つは「俳優」がいなくなって「タレント」ばかりになってしまったから、でしょうね。
BGM->東京事変"教育 "2004