【小説】ガニメデの優しい巨人 | 本を片手に街に出よう

【小説】ガニメデの優しい巨人

著者: ジェイムズ・P・ホーガン, 池 央耿
タイトル: ガニメデの優しい巨人

 

 衝撃デビュー作「星を継ぐもの」の続編。

 前作で謎のままだったガニメデの難破宇宙船から存在が判明した、知的宇宙人ガニメアンとの偶然の遭遇が描かれる。

 これまた前作同様、ハント教授とダンチェッカー教授の知的会話&演説は健在。

 

 前半は何と言ってもガニメアンとの遭遇(SF史上最も友好的な宇宙人との遭遇、だそうです)にまつわるほのぼのエピソードが随所に。特に言語を学ぶシーンなんか、微笑ましい限りである。

 しかしSFとは言え、かなり強引な展開ではある。何たって2500万年越しの遭遇ですから。

 

 そして、ついにガニメアン地球訪問&滞在が実現。欲望や闘争に満ちた地球人と地球の情景に驚くガニメアン。彼らにはそもそも「闘争」という概念はなく、あるのはあくなき知識の探究心だけだ。それが恒星間飛行や重力制御をほしいままにする彼らの驚異的な科学技術力を実現したのだ。

 

 ガニメアンはなぜ「優しい」のか?それは物語中にて明らかになる。なるほど…そうきたか。

 

 そして物語終盤、前作から引っ張ってきた謎、ガニメアンとルナリアンの関係が明らかに。今回は前作の様々な学問に加え、遺伝子工学エッセンスを加算。

 またしてもダンチェッカー教授の演説が冴え渡る。

 

 地球人が謎解きできるのだから、当然ガニメアン達にも謎解きはできている。ルナリアン、ひいては地球人の起源に関わってしまった業を知り、地球人へのこれ以上の干渉を避けるため、いつ終わるとも知れないリスクを負いながらも、恒星へと旅立っていくガニメアン…

 地球人を遥かに凌ぐものすごい知的生命体な割には、ちょっと浪花節だぞ。ガニメアン。

 

 そして最後はしっかり次作への伏線が。