【小説】ユービック | 本を片手に街に出よう

【小説】ユービック



著者: フィリップ・K・ディック, 浅倉 久志
タイトル: ユービック


 ドラえもんの最終回で、全てはのび太の夢だった。しかものび太は植物人間だった。というよく出来た偽話があるけど、本作をMotifにしたのかもね?

 SFの定番プロットの1つと言ってもいい「今いる世界は夢か現実か、どっちだ?」モノである。

 The Matrixと違って、夢と現実?の通信手段はマッチ箱の広告であったり、テレビCMであったり、トイレの壁であったり、交通違反切符の注釈であったりする。
 このあたりは本作をもMotifにしていると思われるThe Matrixは流石に現代モノ、携帯電話。

The MatrixでNOKIAのスライド式電話をシャキン!とやるのが格好良くて、当時はNOKIA携帯がほしくなったのを覚えている。日本でも最近やっと携帯電話ギミックにバリエーションが出てきましたね。

 結構サスペンスな風味も加わっているところもある。
 始めは周囲の時間が逆行していく状況に困惑しつつ、主人公が「これはもしかして?」と疑い出してからの展開は謎解き要素が多く一気に読める。

 始まって直ぐに魔性の女的なサブキャラが出てきて、物語全般を通じて意味深な行動をとるのも謎めいた雰囲気を引っ張っている。

 キャラとしては他にも、序盤で集められた「反予知者」たちなどは磨けば光りそうなキャラ達だと思うのであるが、残念ながら物語りの中ではそれ程深く掘り下げられることなく消えていく。
 この設定とキャラ達でもう1本くらい物語作れそうな気がする。

 最後はベタな終わり方。途中で予想できちゃうだけに、逆にそれが王道というべきものか?


BGM->Snoop Doggy Dogg"Doggystyle"1993