わしがスーパーで、キウイを買おうかどうしようか迷っていたとき、横から声をかけられた。


「あらーおねえさん、背ぇ高かねー。大学生?高校生?」と。


声のほうを見ると、知らない婆ちゃんが私を見ていた。


え…私かい?

えーと…あなたは誰…?




いや、まあ、ところで

ねえ


大学生て?

高校生て?

おらがかえ?

マスクしてるとはいえ…


まったくのノーメイクなもので、「成人女性は化粧をしている」という先入観と一般常識から外れて図らずも年齢不詳になってしまっていたとしても…、

婆ちゃん目が悪いのかもしれないし、婆ちゃんからみたら自分より年下は全て若者扱いなのかもしれないけど…



とはいっても…、


マジでかー!



ひゃっふうー

いやっふふうう



ワッショイワッショイ





マスク効果すげえぜ。

こりゃ、コロナ開けてもマスクとれないねえ。

やめられまへんでー

20も若く見られたよおーほほほほほほ



ちゅーても、このまま学生のふりは図々しかろうし、やはり実年齢は言っといた。

そしたら、「じゃあ、お子さんいらっしゃるの?」ってな話になり。


「じゃあ、ちょっと時間いいかしら?」

「…え?」


と始まり…



そっからが長かった。


思いのほか教育にめっちゃ熱い婆さまで。


最近婆さまが見たという、スーパーでお菓子を買ってほしくて泣いていた子どもと母親の対応のマズさについて「ああいうときは、こうするべきなの。それが教育なの。わかる?」という話。

ここいらの近所に住む素行の悪い子どもの万引きとその母親の対応が信じがたいものであったという話。


「子育てとは、教育とはこうあるべきなのだ」と、語る語る語る…


そんでねぇ、婆さまは話に熱くなったところでマスクが煩わしくなったのか、マスクを顎までズラして、私との距離を詰めてくる。

ちょ、婆ちゃん近い近い。


婆ちゃん詰める、

私1、2歩後ずさる、

婆ちゃんさらに詰めてくる…

手首を掴まんという勢い。ひいい



最初の大学生高校生で終わってたらなぁ…思いがけず出会ったハッピーを胸に、その日1日飯が美味いで済んだろうに…。


婆ちゃんの話はいつまで続くのか。

私はこういうのをうまく切り上げることができないんだよ。

そんな器用な芸当持ち合わせない。

それがコミュ障。



しばらくして婆ちゃんのほうから切り上げてくれたので助かった。

婆ちゃんはレジに向かっていき、私もあとはレジだけだったが、まだ買い物あります風を装いつつ、もう一度店内を一周して時間を置き、さすがにもうおらんやろ、という頃合いでレジに向かった。


そしたら婆ちゃん、袋詰めの台のところで、二歳か三歳くらいの女児を連れたお母さんを捕まえて、また何やら語っているところだった。


私がレジを終えて袋詰めの台に移動したとき、ちょうど婆ちゃんは去っていったが、あとに残された若いお母さんの無表情が怖かった。