破魔弓を、うちの親に買ってもらった。

男の子の場合、妻側の親が破魔弓を贈る。
そのしきたりを、うちの親も我々夫婦も、最初知らなかった。
うちの親戚にいたるまで、その風習はなかったのだ。


向こうの親から夫に電話が来た。
破魔弓は買ってもらったか?と。

細かいニュアンスは、夫が受けた電話なのでよくわからないが、破魔弓がうちにあるかどうかの確認の電話だったようだ。
「本来は、お嫁さん側の親が贈るものだけど、そういう風習がないところもあるだろうから、うちから買って行こうか?」そういう内容の電話だったらしい。

とりあえず、断った。

本来は嫁の親から、と言ってるんだもの、頼むわけにはいかんジャマイカ。

で、うちの親に頼んだところ、すぐ買いに行って、すぐ熊本から福岡まで届けにやってきたのだった。

破魔弓がいかなるものか、というのをネットでみてみたら、わわ、結構高い。
正月の破魔矢感覚で気軽に頼んじゃったけど、こりゃ悪いことしちまったー。

「気にすんな。そういう風習知らなかったもんだから。元々うちから贈らなきゃいけないものだし、それに、ともくんへの贈り物だから別にいーの」っつって、茶を一杯飲んだあと、トモチを少し抱っこして早々に引き上げていった。

うーむ…
里心がつくなあ。(/ _ ; )


さて、
夫婦は合わせ鏡、自分に相応の相手が夫なのである。何につけ、お互い様だ。
夫のことを、感覚がズレたアホだと思っている私も、十分相当にズレたアホなのだ。

それをわかっていても、どうにもこうにも「このウンコが」と思ってしまう時がある。最近はそういう時ばかりである。


しきたり、
しきたり。
たかがしきたり、されどしきたり。

私はそういうことに疎い。
夫も疎い。
しかし、夫はしきたりにうるさい。
知らないくせにうるさい。

大抵、義母が夫に言ってくる。
「こういうしきたりがあるので、やらなければならぬ」と。

すると、それまで、そんなしきたりなんぞ知りもしなかった夫にスイッチが入る。
「それは遂行せねばならぬ」と。

夫は言う。
「しきたりなんだから、やらないと。
当然でしょ」
もう、前から知ってたかのように、完全に常識人の物言いで。
今の今まで知らなかったくせに。

そして、自分で調べて率先してやるんじゃなく、お母さんから言われたことをするのみ。

もはや、しきたりをしなければならないのではなく、お母さんからの言いつけをしなければならないようにしか見えない。

しきたり云々で、融通がきかないことに文句をいうと、
「こうするのがしきたりだから」
といい、そのわりに面倒なところは現代風に端折る。

おい、そこ端折れるなら、こっちも、融通きかせろよ。
「いや、しきたりだから」

バカのいっちょ覚えか。
しきたりがものすごく重みをなくしていく。ありがたみがなくなっていく。

「この日に、こうするのがしきたり。」
うんうんそうだね。
なぜなら、お母さんがそう言ったから、だろ?
自分で調べたりもしてないだろ?
しきたりの意味合いも。
細かいやり方も。
世間では今どうやるのが一般的かも。
私も知らなかったけど、調べたから多分お前以上に今は知ってるよ。
おまえ、しきたりしきたり言ってるだけで、なーんも考えとらんやろ。
当日出向いていって、お母さんが言う通りにするだけやろ。


夫の言う「しきたり」に反発を覚えるのは、別にしきたり自体に問題があるのではない。日本に伝わる美しく優しい風習だ。
そしてそれは、そのしきたりをしてあげる人物のためを思って行わなければ意味がないと思う。


なんも考えず、言われるまんまで、さも自分の意見のように常識人ぶって、私に「しきたりなんだから」と偉そうにのたまってくることに、「ウンコ」と思うだけだ。

向こうの親がらみで、なんでいつもモヤモヤするのかって、ほとんど夫にイラついているのだ、私は。