み空行く 雲にもがな 今日行きて 妹に言問ひ 明日帰り来む【万葉集巻十四 3510】
訳)空を行く 雲になれたらなぁ 今日行って あの娘と語り合い 明日帰ってこように
東歌の相聞、寄物陳思。
東国の恋の歌、物に寄せて思いをのべています。
雲や月などになって、思う人に会いに行きたいという歌は、けっこうあるんですが、
そんな中、これ↓
竜の馬も 今も得てしか あをによし 奈良の都に行きて来むため【万葉集巻五 806】
天空を馳ける龍の馬も今はほしいものです。美しい奈良の都に行って帰るために
大宰府にいた大伴旅人が、都の女性に送った歌。
雲や月などではなくて、龍の馬ですよ。
旅人はすごいです。
そんな旅人、
女性との書簡のやり取りの中、
旅人が見た夢のお話が。
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琴が夢の中で少女となって次のように語りました。
「私は根を沖遠き島の高山にのばし、幹を太陽の美しい光にさらして来ました。長く雲や霞をまとい、山川の中に心を遊ばせ、遠く風や波を望み見ては、役に立つとも立たぬともなく過ごしていたのです。ただ、生涯を終えて空しく谷間に朽ち果てるのだろうかと不安に思っていました。ところがたまたま立派な細工師に出あい、削られてささやかな琴になりました。質も悪くよい音も出ないわが身も顧みず、つねに立派な方の愛用の琴となりたいと思っています」と。
ついで少女は次のように歌いました。
いつの日にか私の音色を理解してくれる人の膝の上に、私は沈するのでしょうか。
そこで、私は次のように答え歌いました。
ことばをいわぬ木ではあっても、あなたは、すぐれたお方が愛用される琴のはずです。
琴の少女は答えていいました。
「つつしんでおことばをおうけいたします。しあわせなことです」と。
ほんのわずかの間で私は目をさまし、すぐに夢の中の少女のことばに感動し、感嘆のあまり黙っていることができませんでしたので、公の使いにつけてたわむれに献上いたします。
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万葉集の講座で、先生から教わった歌を、他の本で調べていますと、こういうものに出会い、
感嘆のあまり黙っていることができず、書き写してしまいました。
「万葉集 全訳注 原文付(一)」中西進 より。
10年ぐらい前に、僕が、万葉集の朗読を、インターネットの番組でさせていただいてたころ、
奈良、明日香村に、中西進先生のお話を伺いに、定期的にかよわせてもらったことがあり、
それは本当に素晴らしい機会で、僕など、まったく万葉集を勉強していなかったのに、
先生のお話が全部、とっても面白くて、感動したことでした。
それから、自分でも、もう少し万葉集のことを知りたくなって、たまたま近くでやっていた講座を知り、
申し込んだのでした。
その講座が、また素晴らしくて、もう10年近く通っているのですが、
これも、毎回、感動するばかり。
本で読むだけでは、とても知り切れない、と思うんです。
ま、そんなことで、そこで教わったことを、時々、ここにも、ほぼそのまま、
書いているようなわけです。
先ほどの、旅人の手紙が出てくる、巻五は、僕が講座に通い始めた時、
すでに講座は、巻六を読んでいることろでしたので、出会えていなかったんです。
そういうものにも、ここにきて、出会えて本当に、嬉しい。
つい、長くなりますが、読んでくださって、ありがとうございます。
さて、写真、The東南西北YOYO部、アルバム全曲ライブ、その4。
4thアルバム「感情」の回の発表がありました。
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<The東南西北YOYO部 Live2017 アルバム全曲やっちゃうYO!vol.4>
☆間もなくソールドアウト!ご予約はお早めにどうぞ☆
The東南西北のボーカル&ギター久保田洋司とキーボード入船陽介による<The東南西北YOYO部>が満を持して!二人だけで全曲ライブに挑みます。vol.4は、7月1日(土)。フォースアルバム『感情』を全曲演奏します。会場は駒沢大学駅近くのイベントスペース<エムズ•カンティーナ>。終演後には秘蔵音源などが聴けちゃう?乾杯会も開催!皆様のお越しをお待ちしております。
日時:7月1日(土) 18:00開場/18:30開演 (20:45終演予定)
出演:The東南西北 YOYO部 (入船陽介&久保田洋司)
会場:東京・世田谷「エムズ・カンティーナ」
世田谷区上馬4-4-8 新町駒沢ビル2階
(東急田園都市線・駒沢大学駅 徒歩1分)
料金:予約4,000円/当日4,500円(税込・自由席・1ドリンク代600円別途必要・乾杯会参加料500円(ドリンクチケット))
予約&お問合せ:「エムズ・カンティーナ」03-6450-8111
予約フォーム:https://ws.formzu.net/fgen/S13353355/
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次々のイベントとなります。
ご都合の良い時に、いつでも会いに来てください。
今日も良い一日となりますように。
美しい明日へ心をこめて歌っています。
洋司