2008年に出した「ゆめゆめ」というアルバムのために、

なにか撮影をしなくては、ということで、それ用にどこかにでかけて、

写した一枚。

「ゆめゆめ」とは、ご存知の通り、

副詞「ゆめ」を繰り返して意味を強めた語。

「努努」「努力努力」などとも書く。

(あとに禁止を表す語を伴って)決して。断じて。「―忘れるな」

(あとに打消しの語を伴って)少しも。まったく。「―考えもしなかった」

つとめて。心して。

ということで、久保田洋司「ゆめゆめ」タイトルチューンでは、

思い出はどこに消えてしまうのか、

ゆめゆめ忘れずに、などと歌っている。

しかし、自分の古いブログを読み返したところ、

当時、思っていたことなど、すっかり忘れていた。

なにか、諧謔をねらって、すまして書いているのが、恥ずかしくもある。

太宰治の「浦島さん」では、最後、忘却によりすべてが救われる。

ナイスなエンディングを考えたものだ。

そこで太宰が「聖諦」を、

本来の意味とは、あえて解釈を変えて、

聖なる諦めとして、静かに表現しているところも上手い。

諦は、もとは明める、明らかにする、つまびらかにする、というような意味で、

聖諦は「しょうたい」と言って、聖なる真理、ということだそうだ。

太宰はこれを「せいてい」と読み、

竜宮にはあるけれど、地上の我々には、なかなか到達できない、

崇高な、理想の境地、みたいなものとして、上手に書いている。

たぶん、そのへんも意識してだと思うが、

久保田洋司の「ゆめゆめ」一曲目、

「眠りの種類の前奏曲イ長調」では、むかむかしの、海の底の建造物のことが、

でてくる。

また、タイトルチューンでは、

君の髪を揺らした潮風、今は横を過ぎてくだけ、という、

万葉集収録の、志貴皇子の詠んだ、

采女の袖吹き返す明日香風都をとおみいたずらに吹く

を使ったフレーズもある。

鮮やかに覚えているからこそ、切なくても、心の揺れを感じられて、

そこが良いような気もする。

The東南西北の最新作「Thank you girl Thank you boy」のカップリング、

「切ない夜は、これでおやすみ」の中に、

覇気と、かわいげと、泣くことのできるハンカチ、さらに、

恍惚と、無執着と、やさしくて深い器を、ほしいと叫ぶ、

老人のお話の部分がある。

この、無執着は、太宰の「浦島さん」からの影響だと思う。

今は、ブログなど書いていても、

わざと諧謔をねらったりしていないだけ、まだ、ましのような気もする。

この老人は、自分の執着が、なくなればいいと思っている。

無執着である、という事自体が、そこに執着しているようでもあり、

ま、そこが、生きているということの、面白いところでもあるかもしれない。

今日も、レコード聞いて楽しむ会があるので、

よろしければ、ご一緒ください。

ゲストに、東郷昌和さんをお招きします。

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■2017年2月28日(火)「回すぜ!」
 The東南西北•久保田洋司による恒例!DJイベント!洋楽邦楽のレコードを久保田洋司とゲストが選曲して回しまくる!DJ.久保田洋司「回すぜ!」盛り上がってます!2月28日(火)は、特別ゲストに<東郷昌和>さんをお招きして、お届けいたします!
日時:2017年 2月28日(火) (18:30開場19:00開演)
出演:久保田洋司(DJ)
☆ゲスト:東郷昌和
会場:東京・世田谷「エムズ・カンティーナ」
   世田谷区上馬4-4-8 新町駒沢ビル 2階
   (東急田園都市線・駒沢大学駅 徒歩1分)
料金:予約3,000円/当日3,500円(自由席・1ドリンク代別途必要)
予約&お問合せ:「エムズ・カンティーナ」(予約フォームから御問合せください) 
予約フォーム:https://ws.formzu.net/fgen/S13353355/

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今日も素敵な一日になりますように。

美しい明日へ心をこめて歌っています。

洋司