コメントありがとうございます。
りーさん、WALLOPご視聴ありがとうございます。電波の関係か、見にくいという意見は、よく聞きます。放送後からの再放送は、比較的見やすいとも。僕は帰ってから再放送を見ました。楽しい三人組だなぁ、と思いましたよ。会報、届いて良かったです。
久保田洋司、昨日は、楽しみにかよっている万葉集の講座に行ってきました。
巻十二の歌が続いています。
他国(ひとくに)に よばひに行きて 大刀(たち)が緒も いまだ解かねば さ夜そ明けにける 【巻十二 2906】
訳)よその国に 妻問いに行って 大刀の緒を解きもしないうちに 夜が明けてしまった
当時は、男性が、女性のところに、夜、出かけて行って、共寝して明け方、帰るという、いわゆる通い婚が普通だったそうですが、
この歌の男性は、遠くの女性に会いに行ったら、まだ大刀の緒も解かないうちに、夜が明けたぞ、と。
なにかの教訓、というより、ここは、笑ってもいいところかもしれません。
たぶん、宴の席で、詠まれたものでしょう。
しかし、実は、これは、古事記の歌謡を、元にしているようなんですね。
八千矛神(やちほこのかみ)が、越の国(今でいう新潟あたり)の姫と結婚しようとお出ましになった時に、その家に到着して歌った歌があるんです。
簡単に書くと、
「越の国に、賢くて美しい姫がいると聞いて、求婚にしげしげ出かけたら、
大刀の緒も解かないで、上衣もまだ脱がないうちに、
姫の寝ている家の戸を何度も押したり引いたりしていると、
あちらこちらで、朝を告げる鳥が鳴きだした。
山ではヌエが、野ではギシが、庭ではニワトリが、鳴きやがる。
いまいましい鳥め、鳴くのをやめないと、打ち殺してやるぞ。」
スズメも鳴きだすころでしょうか。(古事記のことはよく知りませんが、万葉集にはスズメはあんまり出てこないんですよ。)
求婚に行った歌のはずが、途中から、鳥に腹立ててる歌になってますね。
それも含めて、歌謡ですから、
実際は、合いの手があったりして、数人でわいわい歌うもの、だったかもしれません。
切実なようで、どこか、ユーモラスな感じもあって、それを、合いの手ありで、歌うなど、
初期のブルースの風景みたいです。
奈良朝の人たちは、社交のために、いろいろ勉強していましたから、たぶん、「他国によばひ」と言っただけで、
あぁ、八千矛と、わかったんでしょうし、それをネタに短歌にして、うまくいくと、盛り上がったことでしょう。
ロックギタリストが、アドリブ・ソロの中に、ちょっと有名なスタンダードのフレーズを入れて弾くと、
そういうのが好きなお客さんが喜ぶ、みたいな。
ご承知のとおり、これは下手すると、興醒めで、非常にかっこ悪いことになってしまうんですよね。
だから、よほど勉強して、鍛錬した上でないと、大変危険。
だから、「他国に~」も、歌うには、絶妙のタイミングと勇気が必要だったかもしれませんね。
さ、久保田洋司、今月29日のソロ・バンドライブで披露する新曲を、勇気をもって制作中。
29日、KIWAでお待ちしてますよ。
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素敵な一日になりますように。
美しい明日へ心をこめて歌っています。
洋司