安達太良の 嶺(ね)に伏す鹿猪(しし)のありつつも 我(あ)れは至らむ 寝処(ねど)な去りそね  【万葉集 巻十四 3428】

郡山から電車で二本松へ向かえば、安達太良山。

万葉集には、三首、安達太良がでてきます。

そのうちの一つ。

訳は、安達太良山の鹿や猪はいつも決まった寝床に帰って休むといいます。私もお前のところへ通い続けるから、いつでも共寝できるようにまっていてね。

「万葉集遊楽」(http://manyuraku.exblog.jp/10724680/

というサイトからの訳です。

続けて、このサイトを見れば、

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この歌の解釈には色々な説がありますが、
佐々木幸綱氏は「二人の間に何かトラブルでもあって、女が“もう通ってこないで!”
などとすねてしまった。そんな場面を思い浮かべればこの歌の意味が理解しやすい」
とも解説されています。(万葉集東歌)

原始性豊かな山麓の中で鹿や猪と一体になって生活している人々の様子が窺われ、
もともとは山野で働く人達が歌った民謡であったようです。
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安達太良といえば、高村光太郎「智恵子抄」

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智恵子は東京には空が無いといふ、

ほんとの空が見たいといふ。

私は驚いて空を見る。

桜若葉の間に在るのは、

切っても切れない

むかしなじみのきれいな空だ。

どんよりけむる地平のぼかしは

うすもも色の朝のしめりだ。

智恵子は遠くを見ながらいふ。

阿多多羅山の山の上に

毎日出てゐる青い空が

智恵子のほんとの空だといふ。

あどけない空の話である。

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高村光太郎は、安達太良を「阿多多羅」と書いています。

万葉集には、「吾田多良」「安太良多」と。

「阿多多羅」は、どうも、光太郎の創名だろう、と。

「阿多多羅山」というサイトには、とっても詳しく調べて書かれています。

興味のある方は、見てみてください。↓

http://atatarayama.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/post-00e7.html

さ、今日も暑いですね。

元気いっぱい、がんばりましょう。

素敵な一日になりますように。

美しい明日へ心をこめて歌っています。

洋司