数ヶ月コソ見のSUEさん、ありがとうございます。

気分は、「あの頃」と。

そういえば、久保田洋司の「蕾~つぼみ~」という歌の詞に、

思い出のままの君が微笑みをくれる
思い出のあとで止まってた世界がまた
歌い始める

というのがあります。
2002年発表のアルバム「蕾~つぼみ~」に収録されてますが、
作曲は、1986年ごろ。
The東南西北の「不思議な小鳥」と同じ日に作って、ずっと蕾のままだったものが、
花開いた感じがしたものです。

時は過ぎますけれど、それとは関係なく、
かわらずにあるものとか、
ふっと引き戻されるようなものとか、
このごろは、25年前も、今も、同じ地点というような気もしています。

昨日は、万葉集の講座、また、
いいお話たっぷりでした。

言えば、1300年ぐらい前に書かれた歌を今読んで、
1300年前と今を、同じ地点と感じたりも出来るようなことです。

巻十 2270
道の辺の 尾花が下の 思ひ草 今更々に 何をか思はむ


道端の 尾花の陰の 思い草のように いまさら 何を思い迷いましょうか

これは、僕も朗読を担当している、
「万葉集~ココロ・ニ・マド・ヲ~」でも紹介しています。

朗読は、川口満里奈さん。
こちらご覧ください。

この朗読の中の解説も、とってもいいですよ。

「愛する人と結ばれたのだから、今さら何も思い迷うことはないはずなのに一層、募ってしまう想い。誰かを想うということは、心にずっしりと重さを感じることなのです。
結局、喜んだり、悩んだりのくり返し。それが恋なのかもしれません。」

想い、は、重い、なんですね。

昨日は、恋の歌を、いろんなものに寄せて詠んだものを、勉強しました。

鹿、鶴(たづ)、草、花、雨、蟋(こほろぎ)、蝦(かはず)、雁。

花に寄する歌では、例えば、

巻十 2271
草深み こほろぎさはに 鳴くやどの 萩見に君は いつか来まさむ


草深いので こおろぎがいっぱい 鳴く庭の 萩を見にあなたは いつ来てくださるでしょうか

草も、こおろぎも、出てきますが、これを「花に寄する」と分類するのは、
もう、編者の好みとしか言いようがない、と。

巻十の秋の相聞(いわゆる恋の歌)で、花に寄せる歌は、今、数えてみると23首。

草に寄せる歌は、先の、思い草一首。

草を詠んだ歌は、もっとあったのかもしれませんが、ここでこの一首が選ばれてて、
それをさらに、1300年くらいたって、「万葉集~ココロ・ニ~」のスタッフが、
この歌を選んで、映像と音楽をつけて、川口さんが朗読し、
それから、数年して、また、僕が、昨日、その歌を、勉強し、
ここに、取り上げる、など、
今、更々に 何をか思はむ ですね。

今朝は、雨。
素敵な一日になりますように。
美しい明日へ心をこめて歌っています。

洋司