昨日は、朝、万葉集の講座でした。

蝦(かはづ)を詠む。

蝦(かはづ)とは、カエルのことですが、
歌に詠まれるカエルは、
ほぼ、カジカガエルのことらしいです。

先生が、音声付きの電子辞書で、その鳴き声を聞かせてくださいます。

カエルだからといって、ケロケロクワックワッではなくて、
カジカの声は、
口笛みたいな高い音で、細かくぴぴぴぴって感じです。

小川のせせらぎによくあった声です。

インターネットでちょっと調べてみますと、
「カエルのなきごえ きいてみよう」というページでも、
鳴き声が聞けました。

「渓流に生息し、フィー、フィーという鹿のような美しい鳴き声のため、古来より日本人に愛され、河鹿蛙という名前がついています。」と書いてあります。

昔の人には、鹿の鳴き声みたいに聞こえたんですね。

だから、河鹿(かじか)なんですね。

自然には、いろんな音がある中で、
ふっと聞こえる、虫や動物たちの、声。

美しい景色の中、どこからともなく聞こえてくる、
哀愁感じるような声は、歌のいい題材だったみたいですね。

蝦(かはづ)に続いて、鳥を詠む。

かじかの鳴き声でも、鳥の鳴き声でも、
鹿でも、虫でも、とにかく、なにか鳴いていれば、
その声を聞いて、「あぁ」と、胸がそわそわしてしまう、
万葉人を、かわいいな、と思います。

鳥に続いては、「露」。

秋萩に、置いた白露、尾花の上の白露など、
ほんの小さな水滴のことで、
いくつもいくつも、歌が詠まれるなんて、
これにも、きゅんときます。

鹿やカエルの鳴き声に耳を澄まし、
萩の上に置いた露をじっと見ている、
そんな人で、僕もありたいと思うことでした。

昨日は、夕方から、ジョン・レノン・スーパー・ライブに。

スペシャルゲストとして、
桑田佳祐さんが、ビートルズ来日のときのような、
エピフォンのギターの音が印象的なバンドで出演され、
Eマイナーで、歌いだしたのは、
「勝手にシンドバッド」の冒頭。

それはそれで、かっこよかったんですが、すぐに、
演奏をやめて、
「いや、違う違う」と、4人で、ドリフみたいな、コント調。

ビートルズ武道館公演の、前座まで、意識してて、
面白いことでした。

Eマイナーで、歌いだしたのは「She loves you」

8曲ぐらい歌われたか、すべて、曲の解釈が、
桑田さんも、バンドも、流石で、
楽器の音も、そのものだし、上手いし、
MCも、「next song we'd like to do is~」などと、
それ、僕も、ビートルズの曲、やるとき、
つい、言ってしまいますが、
そういうところも、楽しく嬉しく聞きました。

もちろん、他の出演の皆さんも、
素敵でした。

奥田民生さんが、ジョージ・ハリスンの曲、
「サボイ・トラッフル」を。

バンドもすごく、タイトでかっこよかったんですが、
「オレは、これからは、ジョージだけやります」
って言ったのが面白かったです。

そう言ったそばから、ジョンの曲もやるわけです。
「次回は、リンゴ」などと、楽しいですね。

そして、オノ・ヨーコさん。
琵琶をフィーチャーしたバンドサウンドにのせて、
あのおたけびも健在で、今の日本を、励ましてくれるような、
即興のような詩を、強烈にメッセージ。

すごいです。
で、やっぱり、どうしたって、ヨーコの横に、
ジョンが見えましたね。

前に、恵比寿で、プラスチック・オノ・バンドを見たときにも思いましたが、
ヨーコが出てくるともう、皆、ぶっとばされちゃう。

それぐらい、強力ですが、
昔の映像など見れば、ジョンはさらにさらに強力ですから、
もし、生身のジョンが来て、シャウトしたら、
もう、僕たち、100万光年ぐらいぶっとんだかもしれません。

オノ・コードという、小さいライトが、
お客さん皆に、配られていて、
それをつかって、会場全員が、
I LOVE YOUのメッセージ。

満天の星空は、愛のメッセージを送り続けてたんだ、と、
思えることでした。

ヨーコさんが、僕たちに語りかけてくれるときは、
「あなたたち」って、おっしゃるんですよ。

「あーたたち」って聞こえる感じなんですが、
もう、武道館にいることも、わすれるぐらい、
近くに感じました。

全編終わって、「イマジン」のビデオが流れ、
ジョンと一緒に歩く、1971年のヨーコが映るわけです。

さっき、そこで語りかけてくれた人、
ジョンと、歩いてるんですよ。

あらためて、嬉しくなりました。

帰り、銀杏並木が、奇麗に色づいてます。
木は、Aの形に見えます。
銀杏(いちょう)だけに、イ長調(Aメジャー)。

カエルの鳴き声に耳を澄まし、
萩に置いた露を見つめ、
ジョンの歌を大音量で聞き、
武道館の大きなスクリーンに映るジョンとヨーコを見る。

幸せなことです。

今日はもう、夕方になってしまいました。
実は、来週末、The東南西北の新レコーディングがあります。
がんばります。

今日、このあとも素敵な一日でありますように。
美しい明日へ心をこめて歌っています。

洋司