昨日、ここに、阿倍仲麻呂の歌を書きましたが、
あれは、百人一首でも有名な歌ですから、
覚えてるという方も、いらっしゃるでしょうか。

僕など、百人一首、覚えてないんですが、
昨日、それで、百人一首の歌をあれこれ見ていたら、
今ごろの季節っぽいものがあったので、
今日はそれをここに。

きりぎりす 鳴くや霜夜(しもよ)の さむしろに
 衣(ころも)かたしき ひとりかも寝む (「新古今集」秋・518)

(現代語訳)
こおろぎが鳴いている、こんな霜の降る寒い夜に、
むしろの上に片袖を自分で敷いて、
独り(さびしく)寝るのだろうか。

平安時代は、男女が一緒に寝る場合は、
互いの着物の袖を枕代わりに敷いていたそうです。

「かたしき(方敷き)」は、自分の袖を自分で敷いく、
寂しい独り寝のこと。

万葉集では、男女が寝るときは、手枕(たまくら)。
腕枕ですね。

手の枕が、袖の枕になったのが、なんだか面白そうですね。

腕が痛くなってきたんでしょうか。

万葉集で、手枕と対応するのは、草枕。

独り旅先で、一緒に寝る人の腕枕がないから、
草を枕にする、と。

きりぎりす、こおろぎが鳴く、寒い夜、なので、
今ごろみたいだと思って、書き出したんですが、
枕の話になってしまいました。

今日も素敵な一日になりますように。
美しい明日へ心をこめて歌っています。

洋司