昨日は、朝、いつも楽しみな万葉集の講座へ。

巻十の七夕の歌が、続いています。

前回では、彦星が、もう、着物を脱ぎながら、
織姫のところへやってきて、
でも、実は、ちょっと遅れてきたか、
織姫ご機嫌斜め、
それを、彦星、なだめすかして、
織姫、やっと機嫌を直し、
彦星、袖を交わすまでは、帰らない、と元気いっぱいでした。

今回のところは、
もう朝が来て、鶏よ鳴かないでくれ、とか、
まだまだ、会うことが、足りないのに、朝が来た、とかの場面。

彦星、脱いで置いておいた、帯を、
織姫に、とってくれ、と。

そそくさと帰ろうとするような彦星に、
織姫、まだまだ、思いは消えていないのに、
と、またまた、ご機嫌斜め。
ちょっと強い調子で、彦星を、責めたりなど。

後日談的に、
彦星が、
わたしのためにと、織姫が織っていた白い布は、
もう織りあげただろうか、などと歌えば、
織姫は、
長いあいだ、会えずに、織る白い布は、もう、手垢がつくほど、
待ち遠しい、と。

先生は、
女性は、ちょっと、すねたり言葉に棘があったりしますね、と。
ご自身も女性でいらっしゃいますから、
そこは、ユーモアたっぷり。

それにしても、
中国から伝わった七夕伝説ですが、
なんとなく、天の人々の暮らしのようでもなさそうな、
と、思ってしまいますね。

それは、
万葉の人々は、七夕のことなど、
本当のところは、よく知らなくて、
自分たちの生活から、
想像するしかなかったから、と。

このへんは、前にも書いた気がします。

昨日は、巻十だけでなく、巻五から、
大伴旅人の手紙の一部と歌も。

大宰府に住む旅人から、都の恋人への手紙。

そのとき旅人、65歳ぐらいで、今で言うと80歳ぐらいの、
だいぶ、いいおじいさん。
都の恋人も、同じぐらい、と思われますが、
それでも、洒落た感じで、
天の川を隔てた牽牛・織女のような切ない気持ち、
などと、書いてるんですよ。

それも、よく読めば、
わざと、若者っぽく、そんなことを書いて楽しんでるふう。

七夕が伝わってきた時期は、人麻呂の歌などから、すると、
天武朝のころには、すでに。

七夕の歌は、たくさん詠まれますが、
題材に限りもあり、奈良朝になると、だんだん詠まれなくなります。

でも、七夕は、まだ、中国から伝わった教養にはちがいなくて、
こんな形で、享受していたんですね。

で、旅人、
相手の女性との関係も、とっても、
親しい、なごやかな感じもあって、
素敵なおじいさん、っていう感じでしょうか。

万葉集が好きな人で、旅人ファンは、多いそうです。

僕は、志貴皇子の、
采女の袖ふきかへす明日香風都を遠みいたづらに吹く
石ばしる垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも
むささびは木末求むとあしひきの山の猟師に逢ひにけるかも
などの歌が、好きです。

昨日も、朝のうちに、急いで帰って、
ノートに向かって机にへばりついていましたよ。

今日も素敵な一日になりますように。
美しい明日へ心をこめて歌っています。

洋司