今朝は、万葉集の講座で、
出かけてきました。

巻十の春の相聞で、
霞、雨、草、松、に寄せて詠まれた、
恋の歌、十五首ほどと、
それに関連する歌、十数首、
さらに、日本書紀、応神紀などからの資料も。

1909。
春霞 山にたなびき おほほしく
妹(いも)を相見て 後(のち)恋ひむかも

(現代語訳)
春霞が山にかかるように おぼろげに
あの娘に逢って あとで恋しくなることだろうか

おぼろげに逢う、というのが、どういうことか、
と思いますね。

昔は、夜の明かりがなかったから、
ぼんやりとしか見えない、
というような解釈もありますが、
「相見る」には、もっと強い意味がある、と。

戸外で、待ち合わせて会う、というのでなくて、
一夜を共に、みたいな。

それが、おぼろげに、というのは、
心残りの多い逢瀬、
あわただしい逢瀬、
印象に残らなかった逢いかた、みたいな。

会うには会ったが、あわただしく、
これという印象的なこともない逢瀬だった。
あとになって、あの娘を、恋しくなってしまうだろうか、
というような。

いまひとつ、押しの弱い男の人だったのかもしれませんね。

万葉の頃は、生命力にあふれていて、
そこはもう、みんなしっかり、かと思いきや、
というところでしょうか。

本日も、ためになるお話を、
たくさん聞かせていただきました。

洋司