このごろ、少し年上の知人の方々が話しておられるのを、
なんとなく聞いていれば、
電車などで、席を譲られるということが、
起こるようになってきた、と。

これは、意外とダメージがあるようである。

先日、電車で、
白髪のおじいさんらしき人が、
立っておられた。

一人の若者が、さっと、席を譲ろうと、
声をかけたが、
おじいさんは、ぱっと手を振って、
それをことわったのであった。

若者、すごすごと引き下がり、
また席に座る姿は、痛々しいほどであった。

で、さっきの知人の方々は、
譲られたら、素直に座ることにしている、
と話しておられた。

前に書いた、「老人の百戒」という冊子に、
そのことが書いてあったかな。

「席を譲られたらありがたく座れ」と。

お年寄りに向かって、
命令形なのが、面白い、って、
前にも書いた気がする。

また、少し書き写してみると、

他人にあまり期待するな(自分でやれ)
老人とは特権ではない(あまえるな)
他人の生活に口出すな
他人の仕事に口を出すな
愚痴言うな
明るく暮らせ
ひがむな
あきらめも肝心だ
若さに嫉妬するな
うそつくな
無闇に腹を立てるな
同じ年頃の女(男)と付き合え
人をやたらに攻撃するな
ほめ言葉にも注意せよ

などなど、もう、他人事ではない感じでもある。

で、さっきの白髪のおじいさん、
ご自分の前の席があいても、
お座りにならない。
これも、いじらしい、というか、意地、らしい。

昔、祖母が、言っていた。
「さっき電車で、だいぶお年のおじいさんに席を譲ってもらった」と。
「年寄り扱いするようで申し訳ないが、
よかったら、座ってください」と言われた、と。

そのおじいさんの言い方が、とってもスマートで、
かっこよかったみたいである。

僕なども、
「どうぞ」とかだけじゃなくて、
「お年寄り扱いするようで、申し訳ないのですが~」と、
言ってみたい。

あとは、
蕎麦屋で、「ざるで!」と粋に注文してみたい。

洋司