三島由紀夫「行動学入門」を読んでいると、
「行動は迅速であり、思索的な仕事、芸術的な仕事には
非常に長い時間がかかる」と。
三島由紀夫といえば、
書くだけじゃなくて、いろいろ調べたり、
現場に行って、取材したり、緻密な計算をしたり、
毎日をぎっしり、作業しているイメージがある。
精力的にバリバリと、
テキパキと、次々こなしているような感じがするが、
それでも、すごい時間がかかる作業なのであろう。
僕など、じっと、机にいて、なにもしていないように見える時間が、
膨大にあったりして、
この時間があれば、別のことが、いろいろ出来たなぁ、と、
あとで思ったりするけれど、
それがあるから、ようやくなにか、小さなものが一つ出来る、
ということも、あるような気がしていて、
三島が、「時間がかかる」と言うのを知ると、
また、励みに、受け取ったりなど、するのであった。
で、「行動学入門」、
丁度、「豊穣の海」を書いている最中みたいで、
「すでに三冊目にかかるまでに四年かかった小説は、
四冊目が終わるまでにあと何年かかるかわからない」と。
三島は、書き終わったって提出したその足で、迅速に、
市ヶ谷に向かったわけであった。
僕は、読むのが遅いので、
だいぶ時間がかかって、「豊穣の海」を読んだものであったが、
素晴しかった。
映画になった第一部の「春の雪」も見に行って、
妻夫木聡がよかった。
一月のほとんどの時間を、
「地味な小説をえんえんと書き続けていくデスク・ワークに
ささげられ」ていて、
たまたま、東大全共闘に呼ばれて、二時間半ほど討論。
それは三島にとっては、
ほんのわずかな時間の出来事であるのに、
「世間ではその行動が過大に宣伝され、おもしろがられ
人々の興味と関心の的にしばらくの間なっていた」
「私の長い時間の過ごし方についてはほとんど興味を示すことはない」云々。
「しかし、生はある意味では長い時間がかかり、
死は瞬間に終わるのに、人々はどっちを重んじるのだろうか」と。
「『行動学入門』という題のもとに、その私が
行動について考えたことの様々な思考のあとを
お目にかけたいと思う」と。
書き写しばかりになってしまった。
三島の思考のあとを追うのは、楽しい。
逆説の逆説で、そのレトリックで、結局、
なにも言っていない、みたいなことを、言う人も、
いたりするようであるけれど。
だいぶ、うしろのほうで、追いかけていっているけれども、
その、長い時間の過ごし方に、とっても興味ありますから。
洋司
「行動は迅速であり、思索的な仕事、芸術的な仕事には
非常に長い時間がかかる」と。
三島由紀夫といえば、
書くだけじゃなくて、いろいろ調べたり、
現場に行って、取材したり、緻密な計算をしたり、
毎日をぎっしり、作業しているイメージがある。
精力的にバリバリと、
テキパキと、次々こなしているような感じがするが、
それでも、すごい時間がかかる作業なのであろう。
僕など、じっと、机にいて、なにもしていないように見える時間が、
膨大にあったりして、
この時間があれば、別のことが、いろいろ出来たなぁ、と、
あとで思ったりするけれど、
それがあるから、ようやくなにか、小さなものが一つ出来る、
ということも、あるような気がしていて、
三島が、「時間がかかる」と言うのを知ると、
また、励みに、受け取ったりなど、するのであった。
で、「行動学入門」、
丁度、「豊穣の海」を書いている最中みたいで、
「すでに三冊目にかかるまでに四年かかった小説は、
四冊目が終わるまでにあと何年かかるかわからない」と。
三島は、書き終わったって提出したその足で、迅速に、
市ヶ谷に向かったわけであった。
僕は、読むのが遅いので、
だいぶ時間がかかって、「豊穣の海」を読んだものであったが、
素晴しかった。
映画になった第一部の「春の雪」も見に行って、
妻夫木聡がよかった。
一月のほとんどの時間を、
「地味な小説をえんえんと書き続けていくデスク・ワークに
ささげられ」ていて、
たまたま、東大全共闘に呼ばれて、二時間半ほど討論。
それは三島にとっては、
ほんのわずかな時間の出来事であるのに、
「世間ではその行動が過大に宣伝され、おもしろがられ
人々の興味と関心の的にしばらくの間なっていた」
「私の長い時間の過ごし方についてはほとんど興味を示すことはない」云々。
「しかし、生はある意味では長い時間がかかり、
死は瞬間に終わるのに、人々はどっちを重んじるのだろうか」と。
「『行動学入門』という題のもとに、その私が
行動について考えたことの様々な思考のあとを
お目にかけたいと思う」と。
書き写しばかりになってしまった。
三島の思考のあとを追うのは、楽しい。
逆説の逆説で、そのレトリックで、結局、
なにも言っていない、みたいなことを、言う人も、
いたりするようであるけれど。
だいぶ、うしろのほうで、追いかけていっているけれども、
その、長い時間の過ごし方に、とっても興味ありますから。
洋司