新幹線で、岡山を過ぎたあたりである。
トンネルがとても多いのである。

小学校の修学旅行で、
京都、奈良、大阪に行ったとき、
同じ新幹線で、
このトンネルの多いのが好きであった。

誰と話すでもなく、
窓を見ている小学生で、
トンネルのたびに、窓に自分が映る。

その横顔を見るのが好きだったのは、
だんだん、小学生ぽい顔から、
中学生になろうという顔に、
変わっていっているようなところに、
興味があったのかもしれない。

今、トンネルのたびに顔を見れば、
タイミング的にはやはり、
何かから何かに、
変わろうというあたりかもしれない。

自分の覚えている自分の顔と、
だんだん変わっていくという、
そのへんの興味。

さっきから、通路をころがっていた、
サッカーボール。
車掌さんに頼んで、
持ち主を見つけてもらった。

さわやかな、
体操のおにいさんのような、
車掌さんであった。

まもなく新神戸。

洋司