七夕である。

万葉集に七夕の歌が、たくさん出てくることで、
昨年からの一年のあいだに、
先生方から、いろいろなお話を聞かせていただき、
今年の七夕は、今までより、わくわくするようなことである。

万葉時代は陰暦なので、時期は少しずれる。

万葉の歌では、七夕は秋になる。

山上憶良が、秋の七草を歌っている。

秋の野に 咲きたる花を指(および)折り
かき数ふれば 七種(ななくさ)の花
(巻八・1537)

萩の花 尾花(をばな)葛花(くずばな) 瞿麦(なでしこ)の花
女郎花(をみなへし) また藤袴(ふじばかま) 朝貌(あさがほ)の花
(巻八・1538)

秋の七草を決定したのは、山上憶良なのであった。

中西進先生が、ユーモアをまじえて話してくださった。

「秋の七草の決定は、もっと粋な文化人がするかと思ったら、
『しかめっ面』の『しちめんどくさい』憶良だというのが、ちょっと意外ですが~」と。

でも、憶良らしいところとして、
七夕のお祭りに供える七種類の花が必要だった。
そこで、七種類の花を決めたのではないか、と。

ちなみに、春の七草は、秋の七草があるから、
それに対応させて、決められたのだそう。

個人的に通っている万葉集の講座では、
指を折って数えるときに、
まず、五つの花を数えて、そしてもう片方の手で、
さらに、二つ数える、だから、女郎花のあとに、「また」が、
くるのではないか、と楽しく聞かせていただいた。

僕の自作にも、「たなばた」というのがある。
歌の主人公は、ヘッドホンをして秋の歌を作っているのであった。

たぶん、今晩も僕は、ヘッドホンをして、歌を作っているのである。

毎日、イヤホンをして、詞を考えているけれども、
ヘッドホンをして、というのは、自作の録音物の作業をしている場合が、
多い。

思えば、この時期、自作の作業に、ふらふらになっていることが、
多いのであった。

洋司