ギターを弾く時に使う小さな三角の薄いプラスチックの、
あれは、ピックというのであるが、
普段、ピックを使わない人には、いまひとつ、
なんだか、わからないようなものである。

ライブのあとで、上着のポケットに、
ピックをたくさん入れたまま、クリーニングに出したことがある。

クリーニング店の人は、ピックのことをご存知でなく、
「なにか変なものがたくさん入ってました。
捨てようかと思いましたが」と、
小さなナイロンの袋に、その変なものをたくさん入れて、
返してくださったのであった。

僕は、フェンダーのハード、色は白、
いわゆるティアドロップ形のものを、
ずっと使っているのである。

白にしたのは、
昔使っていた机が黒かったからである。

黒い机に、白が目立って、あの小さなものを、
すぐに見つけられるのは、
暗闇で一筋の光を見つけたときのように、
感動的であった。

白いピックに、愛着を覚えた。

ところがここ数年、机は白なのである。

白い机に、白いピックを置いていると、
見えない。

今は、見失わぬように、
机の上には、なるべく置かないようにしているのであった。

洋司