窓から見える桜も、すっかり青々としてきて、
春のあの薄ピンクのひらひらしたものとは別の木、
みたいな感じになってきているのである。

前に、この桜のことを書いた時、
紅梅も見える、と書いたと思ったが、
あれは、梅ではなかったようである。
こちらも今では、緑の葉をごっそりたくわえた、
ごつい木になっているのであった。

今、この桜の手入れをする人が、
いらっしゃらないようで、
このままほっておくと、そのうち、
枝が、うちの窓に入ってきそうな勢いである。

畳をやぶって、竹が生えてきて、もっと伸びるように、
天井に穴を開けてやったお坊さんのお話もあるが、
桜も、けっこう伸びるようである。

そういえば、昨日、ある駅でツバメを見た。
巣を作っている。

屋根があるところを、鳥が飛んでいるのを見ると、
人間にとっては、広い駅みたいな建物でも、
あの小さなツバメには、狭すぎるのがわかる。

僕など、行動範囲が狭いのである。
蟻のほうが、よほど遠出しているのでは、
と思うのであった。

洋司