「老人の百戒」というものが、引き出しから出てきたのであった。
これについて、たしかこの「今日の出来心」に、
ずっと前にも書いたことがあるような気がするが、
今は、いつどこで入手したか、
すっかり忘れてしまった。
大事にしまっておくと、
目にすることがなくなり、
結果、忘れる、
ということは、よくあるものである。
逆に、例えば、失敗や恥ずかしいことばかり、
思い出して、「わー」などと無言で叫んでいると、
そのたびにしっかりと記憶に定着され、
忘れられなくなってしまうのであった。
それで、この忘却の「老人の百戒」、
A4紙5枚にコピーされ、
それぞれ半分にきっちり折って、斜め上をホッチキスで、
とめてある。
第一章 厳しく生きよ
1、他人にあまり期待するな(自分でやれ)
からはじまって、100まで。
そこで終わったかと思ったら、
「健康いろはカルタ」があり、
それで終わるかと思ったら、その後、
「入浴」
「老化を遅らせる水の働き」
「お茶と健康」
「食事」
と、それぞれ、10項目ずつぐらい、
大きい字で書いてある。
ご老人に対して命令形なのが、
スパッとしてどこか、気持ちがいい。
太宰治が小説の中で、
40歳代なのに、おじいさん、
みたいなことを時々書くのが面白くて、
たぶん、僕がこの「老人の百戒」をはじめて見た時も、
その影響で、面白く感じたのだったような気がする。
何年もたってから、今、引き出しから出てきたのには、
なにか、わけでもありそうな、あったら尚面白いような、
などと思い、読んでみたところ、
素直な感想は、自分は老人ではなかった、と。
肉体の衰えや社会的な立場や現実など、
受け入れがたくも、受け入れていかなくてならないところが、
多くなろう。
太宰の小説や、世阿弥の花伝書などで、
老人への、憧れのような気持ちもある。
まえに、自分でまだまだ、と思う時には、
すでに、ということがある、と書いた気がするが、
今、ことさらに、自分は違った、などと書いたところに、
なにやら、もやもやとしたものを、感じるのであった。
洋司
これについて、たしかこの「今日の出来心」に、
ずっと前にも書いたことがあるような気がするが、
今は、いつどこで入手したか、
すっかり忘れてしまった。
大事にしまっておくと、
目にすることがなくなり、
結果、忘れる、
ということは、よくあるものである。
逆に、例えば、失敗や恥ずかしいことばかり、
思い出して、「わー」などと無言で叫んでいると、
そのたびにしっかりと記憶に定着され、
忘れられなくなってしまうのであった。
それで、この忘却の「老人の百戒」、
A4紙5枚にコピーされ、
それぞれ半分にきっちり折って、斜め上をホッチキスで、
とめてある。
第一章 厳しく生きよ
1、他人にあまり期待するな(自分でやれ)
からはじまって、100まで。
そこで終わったかと思ったら、
「健康いろはカルタ」があり、
それで終わるかと思ったら、その後、
「入浴」
「老化を遅らせる水の働き」
「お茶と健康」
「食事」
と、それぞれ、10項目ずつぐらい、
大きい字で書いてある。
ご老人に対して命令形なのが、
スパッとしてどこか、気持ちがいい。
太宰治が小説の中で、
40歳代なのに、おじいさん、
みたいなことを時々書くのが面白くて、
たぶん、僕がこの「老人の百戒」をはじめて見た時も、
その影響で、面白く感じたのだったような気がする。
何年もたってから、今、引き出しから出てきたのには、
なにか、わけでもありそうな、あったら尚面白いような、
などと思い、読んでみたところ、
素直な感想は、自分は老人ではなかった、と。
肉体の衰えや社会的な立場や現実など、
受け入れがたくも、受け入れていかなくてならないところが、
多くなろう。
太宰の小説や、世阿弥の花伝書などで、
老人への、憧れのような気持ちもある。
まえに、自分でまだまだ、と思う時には、
すでに、ということがある、と書いた気がするが、
今、ことさらに、自分は違った、などと書いたところに、
なにやら、もやもやとしたものを、感じるのであった。
洋司