部屋から廊下のほうへ、先ほど、
颯爽と、移動していたことろであったが、
その際、こちらに開いているドアに、
思いっきり膝をぶつけてしまったのであった。

あのぐらいの速さと力で、
何かを蹴るなどということは、
日常生活の中では、
こういう機会ぐらいしか、ないであろう。

おぉー、思いっきり蹴飛ばしたぁー、
痛ってぇー、と、
心の中では、なにか叫んでいるが、
実際には、声には出さない。

本で、ものすごいお話を読んでいる時も、
だいたいは黙読である。
心の中で、ものすごいセリフを言ったりしていても、
どんなストーリーに襲われても、
声には出さない、あれと同じような感じである。

現実も黙読。

今、流れている音楽に、
おぉー、かっこえぇー、
囲碁が雁木じゃぁー、など、
訳がわからないようなことを、
田舎言葉で、叫んでいるが、それも、
黙叫なのである。

洋司