世阿弥、花伝書。
好きで、時々読むのである。

「四十四五」というところ、
これ、年齢のことであるが、
丁度、今の僕とあてはまる。

その前に書いてあるのは、「三十四五」で、
「この頃は、盛りの絶頂である」と。

能についてのことであるけれど、
そのほかのことにも、あてはめられるようである。

数年前に、読んだ時には、
僕は、34~5も過ぎていたし、
44~5には、まだ少しある、丁度、間くらいであった。

で、「四十四五」になると、
こんなことが書いてある。
「このころから、能のやり方をだいたい変えねばならぬ」と。
自分の身のほどをよくわきまえる心境こそ云々、と。

若い時に自然にそなわっている美しさみたいなものも、
さすがに、ここにくると、普通は、失われてゆく。
そのことを知って、変えてゆかなくてはいけないことがある。

自分は、まだ大丈夫だろう、と思っていても、
人から見ると、すでに、ということは、よくあることである。

あいつの芸は自分と同じぐらいになってきたなぁ、
などと思ったときには、
すでに、だいぶ追い越されているものだ、と何かで読んだ。

面白い時期にちがいない。

洋司