先日の万葉集の講座で、
歌に出てくる山藍という植物の種を、
いただいたので、
もってかえって、植えたのである。

小さい種である。

万葉集の歌では、
紅染めの赤裳の裾を引き、
山藍で染めた服を着て、
ただひとり、朱塗りの大橋を渡る女性が詠われている。

美しい色彩が目の前に広がるようである。

山藍は、
薬草にもなるそうである。

染めにも薬草にも、
僕は使わないと思うが、
うまく育てば、
夏ごろ、小さい花が咲くようである。

花が咲くのを、楽しみに待つなど、
その、楽しみなど、
小さな楽しみのようであるが、
そのことを思うと、胸の中、それでいっぱいになったりも、
するのであった。

洋司