僕の田舎などでは、今でも、
帰ることを、「いぬ」というのである。

音だけでみれば、
カエル=イヌ、なのである。

古語辞典をみれば、
「いぬ」は、行ってしまう。去る。また、もとのところへ帰る。などある。

行ってしまうことと、帰ることは、場合によっては、逆のこともあるが、
「イヌ」は「サル」でもあるのである。

カエル=イヌ=サル。

古語辞典、ついでに見れば、
「いぬ」は、「寝(い)ぬ」で、寝る、眠る、にもなる。

ついでに、「ゐぬ」を見れば、
連れて行って一緒に寝る、共寝をする、などとある。

寝ることも、どこかへ、行くことか、と思えば、
なかなかに。
深読みしすぎないように気をつけたいところであるが。

この世でない、どこかへ、ちょっと、立ち寄るか。

カエルやイヌやサルが、そろって、旅する姿を、
想像してしまい、
犬と猿なら、キジを加えれば、桃太郎さん。
猿と、ま、カエルは、カッパに似てると思えば、ブタを加えて、西遊記。

桃太郎の、犬、猿、キジは、戌、申、酉、の方角という説もある。

ブタなら、亥の方角であろう。

カエルとカッパは。

カッパについて、これ以上考えることは、
ないと思われるのである、と、ずいぶん昔、作文に書いたが、
それを書いたために、よけいに、
時々、カッパのことが、気になっているのであった。

先日の、カエルの鳴き声で、ずっとこうしてこのままでいたい、と、
鳴いている、というのに、帰る、とは、泣けてくる。

洋司