昨日は、朝、万葉集の講座に。
またまた、大変面白いことであった。

伊保麻呂の歌、

我が畳 三重の川原の 磯の裏に
かくしもがもと 鳴くかはづかも

カエルが、「かくしもがも」と鳴いていると。

「かく」は、このように。
「し」は、強意の助詞、ずっと、絶対に。
「もがも」は、希望。このままでいたい、こうしていたい。

続ければ、
「このように、ずっと、こうしていたい」みたいなことである。

カエルが、
すっと、こうしていたい、と鳴いている、のである。

窪田空穂によると、
もともと、奈良朝の人は、
楽器や動物などの声や、川の流れる音など、
そういう音に、異常な愛着を持っていた、と。

ここでも、カジカ(カエル)自身が、その存在を喜んでいるのだ、と。

ただ、歌を読むだけでなく、そういうことも、教えていただける。

で、この、かくしもがも、
生命の謳歌というか、
儚いものだとしても、そんなこと気づきもしなくても、
今、あることを喜んで、
ずっとこうしていたいんだ、と鳴く、カエルが、
なんとも、かわいいような、切ないような。

僕も、先のライブでは、ずっとこうしていたい、など、
言った覚えがあるし、その他の場面でも、
ずっとこうして~、と思い当たりそうなことが、あるのである。

それらと、元気に鳴くカエルの姿を、思い合わせて、
じわりと、また、きゅんと、したことであった。

いろんな音に、耳を澄ましたくなる。

エアコンが、ふぁーって言っているが、
あったか~と聞こえなくもない。

万葉集、といえば、
万葉集~ココロ・ニ・マド・ヲ~」
13日に、歌が更新され、僕が朗読を担当しています。
万葉には珍しい、香りの歌。

是非、ご覧ください。

洋司