ギターを弾きながら歌を歌う人を、
初めて、目の前で見た、確かな記憶は、
僕が小学生の時で、
7歳ぐらい年上の従兄が、高校生だったのか、
すごい、ジャンジャカ弾きながら、
たぶん当時70年代後半に流行っていたような、
フォークソングを歌ってくれたんだと思うのである。

それは今思えば、けっこうパンキッシュでもあり、
日常生活にはない音量であったので、
小学生は、だいぶ衝撃を受けたのであった。

その時、従兄は、僕の父の使わなくなっていたガットギターを、
弾いていたが、後に、自分のフォークギターを入手し、
その後、僕が、エレキギターを購入する前に、
すでに、従兄があまり使わなくなっていたそのギターを、
一時的に、借りたこともあったのであった。

従兄の次に聞いたのは、
僕は、まだまだ小学生であったが、
5歳ぐらい年上の、近所のおにいさんが、
高校生になった頃か、
ギターをかき鳴らしながら、
当時流行っていた、ジュリーの歌を歌っているのが、
坂道をはさんで、聞こえてきた。

僕も、ジュリーが大好きであったから、
とっても楽しい気持ちになった。

いつか僕も、そうしたい、と思ったというよりも、
自分もおにいさんになれば、自然とそうなってしまうのだな、と、
なにか、生理的なもののように、
にきびでもできるように、感じたことであって、
中学に入り、にきびがわっと出たころには、
すっかり、大声の、歌手になっていたのであった。

洋司