プレシジョンがうちに来たのは、2年ぐらい前か。
フェンダーのエレクトリック・ベース・ギターである。

見た目がかわいい、というと変かもしれないが、
なぜか、このベースの見た目が好きである。

アルバム「ゆめゆめ」のレコーディングから、
使い始めたか、正確なところは、忘れている。

ギターと比べると、手にとって弾く機会が、
まったく少ない。

ガット・ギターのすぐ後ろのスタンドに、
いつも並んで、立っているのであるが、
手にとるのは、ギターのほうなのである。

今、久しぶりに、少し、弾いていたところである。

ずっしりと、しかも、ノリがいいのが好きであるが、
なかなかそんなふうには、弾けない。
僕本人は、ずっしりと、ノリノリで弾いているつもりでも、
あとで、それを録音したものを聞いてみると、
どうも、軽くて、ぎくしゃくしているのである。

マイケルの映画で、マイケルが、
ベースをもっとファンキーに、とか言いながら、
そのフレーズを歌うシーンがあるが、
その場面が、とっても好きである。

スティーリー・ダンのDVDで、
エイジャのマルチ・テープをトラックごとに再生したり、
参加ミュージシャンが、あれこれ語ったりするものが、
あるのであるが、
そこに、登場するベーシストもとってもいい。

軽々と弾いているように見えるが、
なんでこんなにノリがでるのさ、って、
気持ちいいことである。

実は、清水伸吾くんも、なかなかよくて、
あの、いつも謙虚そうな人柄のすぐ裏のほうに、
けっこう熱いものが、いつもあるような感じなのである。

僕など、とてもあんなふうには、弾けないのである。
いつも、横暴で雑な人柄のすぐ裏は、
ふにゃふにゃの腑抜けのようなものが、いつもあるような感じである。

僕のプレシジョンは、
いや、僕の、というか、たまたまここにくることになった、
このプレシジョンは、いつも静かに、おとなしく、ここに、
いてくれるのである。
たまに、弾かせてもらうと、僕の腕前とは、別のところで、
きれいな、低音を提供してくれる。

ありがたいことなのである。

洋司