馬鈴しょの 家族のように大小の
並ぶ芋満つ 一輪車ひく
母方の祖父が残した、
短歌の勉強帳に、
たくさん歌が書いてあった。
仏壇の前に置いてあったこのノートを、
祖母から、見せてもらったのは、
1990年前後だったような気がするが、
これを一つ、覚えている。
赤鉛筆で、チェックやラインがあったから、
未完成、なのかもしれない。
こんなところに、書いたら、しかられるかもしれないが、
書いてしまった。
いや、ずいぶん前にも、ここか、別のところに、
書いたことがあったかもしれない。
この歌は、僕などには、とっても実感がわく歌なのである。
この、祖父の家では、
たくさんの子宝に恵まれていて、
僕から見ると、従兄弟にあたる、男の子たちが確か、
6人兄弟。
加えて、お正月などに、僕や弟や妹やなんかも混ざって、
また、さらに、他から従姉妹など、集まればもう、
皆で、ころころと、本当に、にぎやかなことであった。
豊かな思い出である。
それと共に、ちょっと山羊系の顔の祖父が、
長靴に一輪車で、庭先の畑のあたりを、
ひょこひょこ歩いている姿は、
今でも、くっきり、目に浮かぶ。
着ていたシャツのほつれも、見えるようである。
一輪車は、物を運ぶ時に使うほうの一輪車ね。
やさしいが、厳しいところもあった祖父が、
晩年、バンドのコンサートを見に来てくれて、
ライブが終わった後、会ったとき、
「洋司くん、おみゃー、なかなか、やるのぉ」と、
ちょっと、にこっとしながら、言ってくれた。
これには、しびれた。
なかなか会えない、山の仙人に、
褒められたような心地であった。
今は、あの全員が集まることは、
ほとんどないけれども、
まったく、今も、ふいに、
祖父のひく、一輪車の上で、
ころころ、転がっているままの者のようで、
豊かな思い出と共に、
この歌が、好きである。
洋司
並ぶ芋満つ 一輪車ひく
母方の祖父が残した、
短歌の勉強帳に、
たくさん歌が書いてあった。
仏壇の前に置いてあったこのノートを、
祖母から、見せてもらったのは、
1990年前後だったような気がするが、
これを一つ、覚えている。
赤鉛筆で、チェックやラインがあったから、
未完成、なのかもしれない。
こんなところに、書いたら、しかられるかもしれないが、
書いてしまった。
いや、ずいぶん前にも、ここか、別のところに、
書いたことがあったかもしれない。
この歌は、僕などには、とっても実感がわく歌なのである。
この、祖父の家では、
たくさんの子宝に恵まれていて、
僕から見ると、従兄弟にあたる、男の子たちが確か、
6人兄弟。
加えて、お正月などに、僕や弟や妹やなんかも混ざって、
また、さらに、他から従姉妹など、集まればもう、
皆で、ころころと、本当に、にぎやかなことであった。
豊かな思い出である。
それと共に、ちょっと山羊系の顔の祖父が、
長靴に一輪車で、庭先の畑のあたりを、
ひょこひょこ歩いている姿は、
今でも、くっきり、目に浮かぶ。
着ていたシャツのほつれも、見えるようである。
一輪車は、物を運ぶ時に使うほうの一輪車ね。
やさしいが、厳しいところもあった祖父が、
晩年、バンドのコンサートを見に来てくれて、
ライブが終わった後、会ったとき、
「洋司くん、おみゃー、なかなか、やるのぉ」と、
ちょっと、にこっとしながら、言ってくれた。
これには、しびれた。
なかなか会えない、山の仙人に、
褒められたような心地であった。
今は、あの全員が集まることは、
ほとんどないけれども、
まったく、今も、ふいに、
祖父のひく、一輪車の上で、
ころころ、転がっているままの者のようで、
豊かな思い出と共に、
この歌が、好きである。
洋司